――主な事業は何でしょうか。
小倉:学習塾と家庭教師の2つの柱があります。前者は個別指導の学習塾事業で、料金設定に特徴があります。1人親家庭の子どもなら通常料金の半額で週1コマ月々6000円です。返済不要の奨学金を利用し無料で通っている子もいます。SNSでの呼びかけによる寄付や講演事業の収入などで塾運営と奨学金制度が成り立っています。
「夢の実現に必要な機会」と「それを応援してくれるパートナー」を得られる制度にしたいです。後者で現在力を入れているのが、箕面市から委託を受けている学力保障サポーター派遣事業です。子どもと年の近い大学生が講師として小中学生の通う学校や家庭を訪問し、学習支援をしています。将来への不安や不登校などの悩みに寄り添い、学習面と精神面の両方をサポートしています。
――新校舎の塾長になるきっかけを教えてください。
小倉:高槻市の児童館で週1回開いている出張教室である中学生の男の子と出会ったことです。彼は母親と妹の3人家族ですが、お互い仲が悪く家庭での居心地が悪い状態でした。毎週教室で私とコミュニケーションをとるなかで徐々に心を開き、家庭環境の悩みや将来の夢を話してくれるようになりました。
彼の悩みを聞くことで心の重荷を軽減しつつ、志望校合格に向けて約半年全力でサポートしましたが、残念ながら合格には至りませんでした。週1回ではなくもっと回数を重ねて会うことができていれば、十分なサポートができたはずだと感じました。彼と同じような境遇の子どもたちを助けたいと思い「あっとすくーる」に入って4年目の今年、新校舎の塾長になろうと決意しました。
――今後の展望はどのようなものでしょうか。
小倉:まずは高槻市の新校舎での事業を成功させ、他の地域にも広めていきたい。そして最終的な目標である大学進学までのサポートができる体制を整えていきたいと思います。子どもたちが安心できる居心地のいい場所を提供することで、相談しにくい悩みや不安を抱えている子どもたちに寄り添い、家庭環境に左右されない前向きな進路を選択できる社会をつくりあげていきたい。
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