一般社団法人ISP(アイエスピー、東京・杉並)は、杉並区内で毎月、まちづくりの一環としてワールドカフェ「100とも」を開いている。そのワールドカフェには、杉並区民を中心に6~86歳まで40人ほど集まる。特徴的なのは、話し合うテーマを公開していないのに、人が集まってくるところだ。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
「何を話すのかよりも、誰と話すかが大切」。こう話すのは、ISPの代表理事・山ノ内凛太郎さん。山ノ内さんは、テーマを公開して集客すると、その分野に関心を持った人が集まるため、「主張したい人たちの会になってしまう」と指摘する。このワールドカフェの目的は、お互いの違いを楽しんで受け入れること。だから、「あえてテーマは出さない」と言う。
ワールドカフェの名称は、「100とも」。コンセプトは、「もし、杉並区の100人と『ともだち』だったら」である。コンセプト通りに、毎回、あらゆる世代が参加し、「お金」「趣味」「防災」「政治」などさまざまなテーマで話し合う。
前半は、テーマに基づいたワークショップを行い、その後、ディスカッションをする流れだ。「協働」がテーマだった回は、ワークショップで、スポンジケーキを作った。いちごを置く場所でさえ、参加者一人ひとりのセンスが異なる。ケーキ作りで、すれちがいが生まれることを実感したあとで、いかにして協働していくのかを話し合った。
山ノ内さんは立教大学を卒業後、2012年に同団体を立ち上げた。団体のメンバーは、杉並区に住む大学生から社会人まで10人ほどいる。これまでに主催したワールドカフェは70回ほど。いまでは、ファシリテーターとしての実績が評価され、杉並区以外の学校や商店街からも、「場づくり」の依頼が相次いでいる。
なぜ、山ノ内さんは杉並区でワールドカフェを企画しているのか。それは、「みんなで責任を持って物事を決めていける町にしたいから」と答える。もし、暮らしている町で問題が起きたとき、「市民ではかかわれない」と傍観者になってしまうのではなく、「自分たちで考えて、行動していきたい。なにより、そんな町に住んでいたい」。
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