イギリスの南端に位置する街、ブライトンのとある広場で、来客に「無料のお昼ご飯」が提供されていた。これは、「Feeding 5000」というイベントだ。2009年、ロンドンで食料廃棄問題の解決に向けた取り組みの一環として始まり、シドニー、ブリュッセル、バルセロナ、アムステルダム――など世界の都市で開かれている。(早稲田大学高野ゼミ支局=米山 知奈津・早稲田大学国際教養学部2年)

廃棄された食糧を振舞う

廃棄される運命にあった食材を振舞う

ブライトンでは、食料廃棄問題に携わる市内の8組織、2大学が連携し、このイベントの開催を実現させた。この催しで使われた全ての食材は、スーパーやレストランで廃棄される運命にあった食材。ボランティアたちは、これらの食材を集め、インドカレー作り、来客に振舞った。

しかしこのイベントは、単なる食料提供にはとどまらない。来客が食に楽しみを覚え、食料廃棄問題について自然と真剣に考えられるよう、たくさんの工夫が凝らされている。

自転車

自転車を漕いでフルーツジュースをつくる試みも

例えば、来客自身が自転車を漕いでフルーツジュースを作るセクション。自転車のハンドルの前にあるのは、かごではなく、ミキサー。そのミキサーの中に、ボランティアたちがリンゴやマンゴー、バナナなど、様々なフルーツをたっぷりと入れてくれる。

来客は、次第に完成していく美味しそうなフルーツジュースを笑顔で見つめながら、ペダルを漕いだ。完成後、ジュースを口にした来客の間に、更なる笑顔が広がった。この他にも、シェフによる料理のデモンストレーションや、市内の教会での定期食事会の案内など、来客を魅了する様々なセクションが設けられていた。

パーク

食を食べながら、世界の飢餓問題について考える

9人に1人が飢餓に苦しんでいる今日の世界。一方で、生産された食料の約3分の1が毎年捨てられてゆくという現実がある 。このような時代に、食料廃棄の削減に向けて、日本においても更なる行動を起こしてゆく必要があるのではないだろうか。

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