グローバルな視点で、ローカルを面白く–。そんなコンセプトのもと、留学生と日本のクリエイターとが日本の名物を海外展開するためのアイデアを出し合うワークショップが、3月5日、浅草の「まるごとにっぽん」で開催された。その模様をレポートする。(オルタナS特派員=山中 康司)
このワークショップは、地域に眠っているふるさと名物を日本人と外国人とで発見、発信することで、日本の地域を盛り上げていくウェブサービス「NIPPON QUEST」の運営事務局と外国人留学生のネットワークを持つアクティブコネクターとの共同プロジェクトの一環で開かれた。
NIPPON QUESTでは個人や法人が、地域の自慢の名物を、「モノ」「食」「アクティビティ」の3つのカテゴリーで投稿することができる。投稿は翻訳され、他言語で検索が可能だ。
3月4~5日に開催された「NIPPON QUEST AWARD」の一環として開催されたこのワークショップでは、NIPPON QUESTに投稿された日本の名物のうち「会津伝統菓子」「美濃焼」「鬼瓦」の3商品について、外国人留学生とクリエイターが海外展開のためのアイデアを出し合った。
ディスカッションの後に行われたプレゼンテーションでは、ユニークなアイデアが披露された。和菓子を担当したグループは、3Dプリンターを使って作る、記念日用の和菓子を提案。「和菓子の美しい包装は、海外では記念日の贈り物として需要がある。さらに3Dプリンターを使えば、相手の名前を彫り込むなどカスタマイズできる」とプレゼンターは語った。美濃焼を担当したグループは侍や忍者などを模したチェスの駒を提案。日本の歴史に興味がある旅行者が、お土産として買うことが期待できるという。
さらに鬼瓦を担当したチームが提案したのは、鬼瓦の「魔除け」という点に着目したスマートフォン用のアクセサリ。「鬼瓦の素材を使い、さらに鬼の顔を象ったイヤホンジャックや携帯ストラップは、魔除けの意味を持つお守りとして海外の人にも受け入れられるはずだ」とプレゼンターは語った。
留学生たちのプレゼンテーションに、会場からは驚きの声が上がった。ゲストとして参加した、会津で伝統菓子を製造する長門屋の鈴木静さんは、「食文化は国によって多様。その国の素材を使うなど、地域に合わせた和菓子のあり方を模索することが大切だと気付かされた」と語る。
イベントに参加したナイジェリアからの留学生であるチメジー・ダニエル・チディさん(33)は、「国籍や職業など、異なるバックグラウンドを持つ人とアイデアを出し合うことができ、とても面白かった」と振り返った。
2020年の東京オリンピックを控え、世界の目が日本に注がれている。そうしたなか、日本に住む留学生の視点から日本の名物の魅力を発見し、発信していくことは、より各国のニーズに沿った商品やサービスを提供することを可能にするかもしれない。<PR>
・3月4日の模様はこちら
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