地域に眠っているふるさと名物を日本人と外国人とで発見、発信することで、日本の地域を盛り上げていくウェブサービス「NIPPON QUEST」は3月4日、NIPPON QUEST AWARDを開いた。ジャーナリストの堀潤さんと『ニッポン景観論』の著者で東洋文化研究家のアレックス・カーさんの対談イベントが行われた。テーマは「グローバル発想でローカルを変える!」。NIPPON QUEST運営事務局の山田英治さんの司会で話し合った。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
■グローバル発想でローカルを変えるには
堀さんは地方の魅力を伝えていくには「個人の発信力がカギ」と話した。「メディアの力に頼りきるのではなく、個々人の力を結集し、今起きていることを伝えていくべき」。
アレックスさんは「危機感がアイデアを生み出す」とした。アレックスさんは、地域活性化のコンサルタントとして自治体を見てきたが、「人口1万人以上の地域は意外と救われない。むしろ、1万人以下の地域の方が危機感があるので、活性化するためのアイデアが生まれている」と言う。
このマイナスの状況を逆手に取る方法に堀さんも賛同。「外部から地域を変えるために若者が入っていくが、その地域の古い慣習や保守的な法律の壁にぶつかる。けれど、過疎地に外部から多くの人が参入して、コミュニティが多様化していくと、その地域で築き上げられてきたものがフラットになる。そうすると変革が起きやすい」。
SNSの浸透で、世界とつながれるようになった。そのため、「今の日本人は外国人と根が変わらない」とアレックスさんは考える。商品を海外向けに展開するために、「すぐに外国人目当てで考えがち」と指摘する。織物を例にあげ、まずは、日本人が欲しいと思わないと、その思いは外国人に伝わらないと言う。
■伝統と伝承の違い
堀さんは、2001年にNHKに入局し、岡山に配属された。そのときに、人間国宝の陶芸家・伊勢崎淳さんに取材した。伊勢崎さんから伝承と伝統の違いを教わったという。伝承は、昔から地域にあるもので、今の時代になってもそのまま残っているもの。一方、伝統はその時代の職人が、もっとも新しいものを積み重ねてきた結果。
「古き良きものを守ることが伝統ではない。伝統は古き良きものをさらに進化させること。今も産業が輝き続けているのは、時代ごとに職人が工夫をこらし、進化させ続けてきたから。そのような生産者には感謝の気持ちでいっぱい。消費者は消費するだけでなく、生産者と協力して、一緒に発展していくという考えを持つべき」と結んだ。<PR>
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