今回は一人暮らしの高齢者の家を支援したことを書く。私は熊本市社会福祉協議会の災害ボランティアに参加した。14日の地震から時間が経とうとしているが、私自身は東海大学熊本キャンパス復興支援チーム“Vukki”のメンバーとして3度目のボランティアとなる。(東海大学熊本キャンパス 復興支援チームVukki=石原 安里・経営学部観光ビジネス学科3年)
■日本全国からボランティア
今回のボランティアでは、Vukkiのメンバー2名のほか、60代の男性、看護師を目指す専門学校生、熊本県天草出身の社会人と大学生の姉妹、娘の大学進学のために熊本に引っ越してきたばかりの親子、千葉県の30代の男性という、年代、性別、職業、出身地もバラバラな9名がグループとなって活動した。
普段であれば決して交わることのない人たちと話をするのは、私にとってとても新鮮で貴重な体験だった。そして何より熊本のためにALL日本で頑張っているという実感が湧いてくる。天草出身の女性は、地元熊本のことが心配で現在の勤務先である仙台から真っ先に駆けつけたとの事。仙台では5年経っても未だに東日本大震災からの復興に向けての活動が続いているそうで、「まだまだですね」と話していたのが印象に残る。東北も九州も一日も早く元通りに復興すると良いと思う。
■町の様子
現場までは、熊本市民の足である市電(路面電車)で移動した。市電は2度目の地震のわずか3日後には運行を再開した復興のシンボルだ。ボランティアセンターのある辛島町から目的地の健軍町まで30分ほどかかるが、車窓からの街並みはいつもの賑わいに比べるとやはり静まりかえっている感じがした。しかし、震災直後と比べると開いている店も増え、少しずつではあるが町は復旧に向かっていると思う。
■一人暮らしの高齢者
今回は、一人暮らしの高齢者宅での片付けと清掃だった。室内はガラスの破片などが散乱したままだった。靴を脱いでは危険とのことで、気は引けたが家主の案内で土足のまま上がらせてもらった。ダイニングでは食器棚が2つ倒れ、趣味で集めたという食器の破片で足の踏み場がない状況だった。居間では大きなタンスが倒れ、服が散乱し山積みのままだった。1人ではとても片付けられないほどで、今回の地震の大きさを改めて感じた。私たち9名も最初はどこから手を付けたらいいのか分からなかった。
割れている食器であってもゴミ袋に入れる作業は被災者の気持ちを考えるととても苦しい。そのため、どんなに小さな物でも必ず依頼者に「捨ててもいいですか?」とは言わずに、「取っておきますか?」と確認をするように心がけた。
片付けが終わり綺麗になった部屋を見て依頼者はとても喜んで下さり、私たちもホッとした。そして、一人暮らしの高齢者はこうした状況になった時に頼る人がいないことを知った。
■反省と今後に向けての改善
作業終了後にグループ全員で、今回気づいた点や改善すべき点を話し合った。その結果、以下の3点の意見が出された。
⦁ボランティアセンターと依頼者との間の連絡の徹底
私たちは11時30分に到着したが、依頼者は10時に来るものと思って待っていたと言われた。
⦁地震対策グッズの必要性
食器棚やタンスは余震でまた倒れてしまう危険がある。特に一人暮らしの高齢者宅には対策グッズの設置が必要だと思った。
⦁事前の準備
片付けに必要な物を依頼者から事前に聞いて準備して持参する。今回の場合であれば、割れた食器の片付けがメインなので、ほうきやちり取り、ごみ袋などが必要だった。
今回は3度目のボランティアであったが、実際に現場に行かないと被災状況はなかなか分らない。それぞれの被災者の気持ちや要求があることに改めて気付いた。
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