夜間や昼間の曇天・雨天時など光がなくても「24時間発電できる」、中央タワー式集光器と蓄熱機能を備えた世界初の商用集光型太陽熱発電所(通称:Gemasolar)がトレソル・エナジー社により、スペインに2011年5月誕生した。
スペインにある集光型太陽熱発電所の写真
(写真提供:Business Wire)
この発電所で革新的な技術の一つが「溶融塩熱伝導」を採用していること。一見何のこと?と難しく感じる技術だが、鏡で集めた太陽光の熱を「塩」で蓄熱するというのだ。
まず、約185ヘクタールに及ぶ2650基の反射鏡を利用して、内部に熱伝導媒体として溶解塩が流れている中央のタワーに光を集める。昼間のうちに溶融塩を溶かして熱を蓄えておき、夜は溶融塩が固体に戻るときの潜熱などによって蒸気を発生させ、発電する仕組みだ。
この技術により、太陽光が全くないときでも15時間は継続して発電できる見込みだ。夜間や太陽光の乏しい冬場でさえ、1年のうち何ヶ月間も1日24時間発電できるようになった。
効果的に発電するためには、広大な土地が必要なため、日本では未普及の太陽熱発電。太陽光を塩で蓄熱するという何ともエコなアイディアが、再生可能エネルギーを模索する日本で実現する日は遠くないかもしれない。(オルタナSシドニー特派員 小山里紗)