社会的課題をビジネスで解決するソーシャルビジネスを生み出すためのプラットフォームが続々と生まれている。6月から7月にかけて、三菱総合研究所や俳優の伊勢谷友介氏が代表を務めるリバースプロジェクト(東京・港)、国連開発計画(UNDP)などがその構想を発表した。複数の企業・団体が集まり、「共創」をキーワードに社会的事業を加速していく。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

有限の資源に依存していたビジネスモデルから脱却し、持続的成長を目指す新エコシステムを構築する

有限の資源に依存していたビジネスモデルから脱却し、持続的成長を目指す新エコシステムを構築する

三菱総合研究所(MRI)はこのほど、「未来共創イノベーションネットワーク」と名付けたプラットフォームを立ち上げた。同社が持つ国内外のネットワークを駆使して、企業やNPO/NGOなどの事業者に参加を呼びかける。このネットワークから、社会的課題を解決するビジネスモデルを生み出していく。2017年1月から開始する予定だ。

未来共創イノベーションネットワーク担当の須﨑彩斗 科学・安全政策研究本部産業イノベーション戦略グループリーダーは、環境に配慮した21世紀型のビジネスモデルを生み出すためには、「知識」「ビジネス」「共創」がカギだと強調。複数の事業者でアイデアを話し合う。

同ネットワーク活動の推進にあたっては、総合シンクタンクの強みを生かし、多様な専門知識を有する各研究員が組織横断的に参画し、同社の小宮山宏理事長をはじめ、外部の識者からの意見も取り入れながら構築していく。

特に同社が重点課題として定めているのは、医療・交通・環境エネルギー・防災・教育・食農の6分野だという。12月には同ネットワークを立ち上げる準備の一環として、「ウェルネス」をテーマにしたビジネスアイデアコンテストを開く。

■CSR/CSVからCSW

俳優の伊勢谷友介氏が代表を務めるリバースプロジェクト(東京・港)は6月、イトーキと組み、社会的課題を事業で解決する新基盤「CSW」(コーポレート・ソーシャル・ウィル)を立ち上げた。自社の企業理念をもとに新規事業をつくりたい事業者を集め、サポートする。第1弾は、教育研修と新規事業共創のためのプラットフォームを提供する。

リバースプロジェクトとイトーキの記者会見、CSR/CSVの発展形として「CSW」を提唱した

リバースプロジェクトとイトーキの記者会見、CSR/CSVの発展形として「CSW」を提唱した

リバースプロジェクトはこの共同事業をCSW事業と名付けている。同社ではCSWをこう説明している。Corporateが目指すべき、より大きな「理念・志」という(Will)を共有(Share)し、互いの強みを社会(Social)のための価値に変革していく概念。CSR/CSVの発展形と位置づけ、共創していくことで社会的価値を拡大させていく。

同プラットフォームは、会員制のコンソーシアムで、会員企業が新規事業を生み出す仕組み。さまざまな企業の新規事業担当者と提携し、社会的課題の解決策を共有する。同社の関根優作氏は、「企業が持つ豊富なリソースやアイデアを出し合い、社会的課題を解決する事業を創造したい」と話す。

2016年冬から、事業者の募集を開始する。2019年をめどに、社会的課題の解決につながる新規事業を立ち上げる予定だ。

■SDGsをビジネスチャンスに

国連開発計画(UNDP)と一般社団法人JINは7月25日、持続可能な発目標(SDGs)の達成を目指すプラットフォーム「SDGs Holistic Innovation Platform (SHIP)」を設立する。SHIPは三菱総合研究所と協力し、ワークショップやフォーラムを開く。SDGsをビジネスチャンスと捉え、社会的事業を促進する。

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