五年前に比べだいぶ身近なものになってしまった震災。このような状況において、「支え合い」というありふれた言葉が持つ意味は以前とは比べ物にならないほど切実で大きなものになっています。そこで、今回は募金ならぬ「募米」活動という新しい被災地支援の形について紹介し、支え合いの在り方について探ります。(早稲田大学高野ゼミ支局=真壁 恵亮・早稲田大学政治経済学部2年)

お金ではなくお米を送る募米活動

お金ではなくお米を送る募米活動

募金ならぬ、募米活動。そんなあまり聞きなれない活動を東北の被災地で行っているのは募米事務局の渡辺さんです。お米を寄付したいという人に、その量に見合った送付先をネットを通して紹介し、送られてきたお米は現地のボランティアによって精米、小分けされ支援が行き届き難い被災地のご高齢の方々に届けられます。

実際に筆者もお米を20㎏送らせていただきましたが、少量にもかかわらずメールで連絡するとすぐに快く対応してくださり、とてもスムーズにお米を送ることができました。送料は基本的に支援者負担となりますが、大規模な援助の場合は相談に応じていただけますし、 Amazonを通してお米を送る方もいらっしゃるようです。

読者の中にはいまだに食料が足りてないのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、現在は食料が不足している段階は終え、「お米の支援を通じて励ます」という段階に入っています。

現地の人の暮らしはいまだ苦しいままのところも多く、そういう状況では食費が切り詰められがちなものです。また、安価で便利ではありますが、缶詰やレトルト食品では人間だれしも元気が出ないものです。お米を送ることは単純な食糧の支援ではなく、主食であるお米があるという安心感、お米を炊くことからつながる豊かな食を贈ること、ひいては活力を与えることにつながります。

この活動を知った時、ぼくは、適当かはわかりませんが、ジブリの「千と千尋の神隠し」を思い浮かべました。作中で、主人公千尋はハクにもらったおにぎりを食べた後、元気を取り戻し、魔女にとらわれた両親を取り返すために奮闘していきます。何かに負けず、立ち向かうときその活力の源は良質な食事であることが多いです。皆さんも自宅のお米を少し使って、「ハクのおにぎり」を被災地の方に贈ってみてはいかがでしょうか。

・募米活動はこちら

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