東京中野に、宮城の食と酒を楽しめる居酒屋がある。店の名前は、魚谷屋。震災後、東北の若手漁師らが立ち上げたフィッシャーマンジャパンにも所属する魚谷浩さんが切り盛りしている。3.11の余震とされる福島沖地震があった今月22日、魚谷屋では石巻の牡蠣漁師を迎えて「漁師night」が開かれた。(文・写真=福地 波宇郎)

生産者自ら牡蠣をサーブ。いつもは海を相手にしている漁師さんも勝手が違いがち

生産者自ら牡蠣をサーブ。いつもは海を相手にしている漁師さんも勝手が違いがち

石巻牡鹿半島・狐崎浜で牡蠣養殖を営む阿部政志さんは津波で養殖施設を流された。以降、再建に奔走、震災以前よりも質の良い牡蠣の生産と販路の開拓に取り組んできた。努力が実り、一年ものを「おぼこ牡蠣」と商標登録、さらに2年ものの「ミミ釣り牡蠣」、「政志スペシャル」とこだわりぬいた牡蠣を生産している。

狐崎浜で牡蠣を仕込む阿部さん。牡蠣の養殖は気の遠くなる作業の繰り返しだ

狐崎浜で牡蠣を仕込む阿部さん。牡蠣の養殖は気の遠くなる作業の繰り返しだ

牡蠣は今がシーズン真っ盛り。阿部さんは多忙な中も、魚谷さんの呼びかけに応え、中野まで来た。店内は馴染みの客やボランティアとして狐崎浜を訪れた人々も集まり活気を呈した。「震災を思い出す地震で目が覚めました。こんな日だから石巻の牡蠣を食べたくて」元ボランティアの40代男性が語った。

魚谷さん(左)は飲食業で独立寸前に震災発生、阪神大震災で被災した経験もあり、支援団体代表として石巻へ、現在に至る

魚谷さん(左)は飲食業で独立寸前に震災発生、阪神大震災で被災した経験もあり、支援団体現地責任者として石巻へ、現在に至る

「生産者は消費者の顔を見る機会がありません。今日はみなさんが私の牡蠣を喜んでくださる様子を見られました。これだけで来た甲斐があります」と阿部さん。魚谷さんの狙いもそこにあり、今後も宮城の漁師と東京の食卓を繋ぐ企画を継続していく。

魚谷屋ホームページはこちら

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