新聞・TV・雑誌など若者のメディア離れが加速するなか、高校生が好むメディアとは。10代向けのウェブメディアを運営するNPO法人青春基地(東京)はこのほど、高校生ら50人と「10代向けメディア」を考えるイベントを開いた。ネットとリアルを区分けしない、デジタルネイティブ世代が求めるメディアの形を探した。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

10代向けのメディアについて話し合った=11月27日夜、東京渋谷にある学生ラウンジキャンパスプラスで

10代向けのメディアについて話し合った=11月27日夜、東京渋谷にある学生ラウンジ キャンパスプラスで

■高1でアプリ開発

「僕ら自身、『メディアの型』にこだわり過ぎている。伝えたいことを、若者が最も受け取りやすい方法で、発信すれば良いだけではないか」――。同イベントのゲストの一人、ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン(東京・千代田)の坪井遥(30)・ブログエディターは、10代向けのメディアについて、こう言及した。

この発言の背景には、イベントに参加していた高校1年生のあーやさん(16)からの素朴な疑問があった。彼女は「正直、好きなメディアはありません。そもそもメディアって何なのでしょうか」と投げかけた。

メディアの印象について話したあーやさん

メディアの印象について話したあーやさん

彼女がよく読むのは、SNSのタイムライン上で流れてくる記事。新聞やTVなどがトップニュースとして扱う話題よりも、友人が「いいね」を押した記事に関心を持つという。

彼女は生まれたときから、ネットに接してきたデジタルネイティブ世代。小学4年生のときに、親からiPadを買ってもらい、アプリを利用してCM製作を行ってきた。中学2年生でプログラミングを習い、今ではスマートフォン向けアプリを製作し、アップルストアで販売している。

プログラミングを学んだきっかけは、「このスキルがあれば、社会の不便を改善するプロダクトをつくれると思ったからです」。

若くして優れたIT技術を持っているが、「将来はIT系に進むつもりは微塵もありません」と言い切る。「今はプログラミングが好きですが、将来続けるかと言われると、たぶんやらないと思います」。

仕事のスキルとして、プログラミングを捉えていない。子どもの頃、親からプレゼントされたおもちゃが、iPadであったため、遊びながらスキルを学んでいったのだ。

この話を受け、ウェブメディア「灯台もと暮らし」を運営するWaseiの鳥井弘文代表(28)は、「上の世代は、ネットとリアルを分けて話をするが、彼女はシームレス(途切れていないという意味)に感じる」と言う。

ITが発達した現代では、この動きは「当然なこと」とし、デジタルネイティブ世代に好感を持たれるには、「ネットか紙かなどと言っている暇はない」と主張した。

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この意見に、ウェブメディア「greenz.jp」を運営するNPO法人グリーンズ(東京・渋谷)の植原正太郎(28)・greenz people事業部マネージャーも賛同する。「ぼくらの世代は、リアルしか存在しなかった社会にネットが生まれた。そのため分けて考えてしまう。でも、生まれた時から、ネットがある世代にとっては、ネットもリアルもつなげて考えることが当たり前」。

■続きは「青春基地」へ

今回のトークイベントのテーマは、「これからの10代メディア」。高校生ら50人とウェブメディアの運営に関わる20代後半のゲストが登壇して、語り合った。トークイベントの詳細は、ウェブメディア「青春基地」に掲載中。

青春基地を立ち上げた石黒和己さん(慶応義塾大学総合政策学部4年)

青春基地を立ち上げた石黒和己さん(慶応義塾大学総合政策学部4年)

同メディアはNPO法人青春基地が運営している。コンセプトは「想定外の未来をつくる!」。中高生が記事の企画・執筆を行い、大学生スタッフが支える。メディアの運営を通して、中高生向けのアクティブラーニングを行っている。

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