障がい者雇用支援サービスを展開するリクルートスタッフィングはこのほど、精神障がい者の職場定着をテーマにセミナーを開いた。精神障がい者は身体・知的と比べ、年間雇用件数が最も多いが、約半分が3カ月以内に離職してしまう。しかし、就職後3カ月を過ぎれば65%が、1年以上勤務を継続する。「3カ月の壁」を超えるためには、精神障がい者の職場適応能力と企業の期待値を合わせることがカギだという。(オルタナS編集部)
セミナーに登壇したのは、同社が行うアビリティスタッフィングの事業責任者の染野弓美子氏と、精神保健福祉士3人。同セミナーのテーマは、精神障がい者の職場定着。2013年の「障がい者雇用促進法」の改正で、2018年に精神障がい者の雇用が義務化される。それに伴い企業は、働きやすい職場環境づくり、そして障がい者に関する理解促進が求められている。
障がい者雇用市場では、2015年末時点で年間約8.6万人の障がい者が新たに雇用されており、精神障がい者の雇用義務化を迎える2018年には年間約10.3万人まで増える見込みだ。障がいは大きく分けて「身体障がい」「知的障がい」「精神障がい」の3つに分けられている。この3つの障がいの中でも、精神障がい者の年間雇用件数は2013年にトップとなり、今後も右肩上がりに増加すると予想されている。(平成28年度 厚生労働省「ハローワークにおける障がい者職業紹介状況」を参考)
精神障がい者の雇用の大きな課題として、「職場定着」がある。年間雇用件数が一番多い精神障がい者だが、3カ月以内に離職する割合は就職者の約半数に及ぶ46%だ。しかし3カ月の壁を超えると65%が、1年以上勤務を継続する。そのため、就職後の3カ月のサポートがその後の定着に影響を与える。
染野氏によると、精神障がい者の職場適応能力と企業の期待値を合わせることでミスマッチを防ぐことができるという。職場適応能力とは、「誰しもが過度のストレス下においても自身の健康を自ら生成し、状況に適応する心理的・認知的メカニズムのこと」(染野氏)。
アビリティスタッフィングでは国家資格である「精神障害福祉士」が就業後半年間、就業者・受入予定部署の双方に定期的に面談。フィードバックを通じて小まめな状況把握をサポートしている。
2011年に開始したアビリティスタッフィングだが、支援フローを改善し続けてきた結果、2016年11月時点での精神障がい者の半年以内の職場定着率は94.7%を記録した。
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