トランプ政権が発足し、メディアは「トランプ一色」だ。しばらくはネタに「困らない」と情報を発信し続けるだろうが、今だからこそ、「政府もメディアも嘘をつく」と自らに言い聞かせ、情報との向き合い方を見直していきたい。情報との向き合い方を考えるおすすめしたいイベントを紹介する。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

ドキュメンタリー映画「すべての政府は嘘をつく」。フリージャーナリストたちの闘いを描いた

イベントを紹介する前に、2013年8月、オルタナS編集部がジャーナリストの田原総一朗氏へ行ったインタビュー内容について触れたい。

この取材は、当時麻生太郎副総理の「ナチスの手口に学べ」発言を受けて、日本が右傾化しているかどうか、田原氏の考えを聞くために行った。最初の質問を投げかけたとき、質問内容には触れず、田原氏は自身がジャーナリストを目指したきっかけについて話し出した。

「まず、バックグラウンドから話したい。ぼくは昭和9年生まれで、敗戦の年に小学校5年生だった。

5年生の1学期までは軍事教育を受けていた。そこで、こう教えられた。『この戦争は聖戦である。米国、英国、オランダなどの国に対してアジアを解放して独立するための戦いである。大東亜戦争なのだ。君らもこの戦争に参加し、そして、死ね。君らの寿命は20歳だと思え。天皇陛下のために死ぬのだ』。

ところが、夏休みが終わり、2学期になると教師の教えが変わった。『あの戦争は侵略戦争であった。悪い戦争であった。民主主義の国である米国や英国に戦争を仕掛けてしまった』。

そして、1学期までは英雄だった東条英機らが戦犯として捕まった。突然、犯罪者になった。教師をはじめ、偉い人の意見が夏休みを機に180度変わった経験を、子どもの時に体感した。だから、偉い人の意見は一切信用できないと思うようになった。国は国民を騙すもの。今もこの考えに変わりはない」

田原氏のように、政府の嘘を見抜くために闘ったジャーナリストは世界各国にいる。そんな彼/彼女らをまとめたドキュメンタリー映画が公開される。

その映画は、オリバー・ストーンが製作総指揮を務めた「すべての政府は嘘をつく」。映画配給会社のアップリンク(東京・渋谷)は3日から、インターネット配信(1200円)を行う。

同作は、「すべての政府は嘘をつく」という信念を持ち、1940~80年代に活躍した米国人ジャーナリストI. F.ストーンの意思を継いだ独立系ジャーナリストを追ったもの。同社はトランプ政権の発足を受け、緊急で公開を決めた。

【予告編】

同作品では、公益よりも私益に走り、権力の欺瞞を追及しない大手メディアの裏の顔を映し、政府の嘘を暴くフリージャーナリストたちをまとめた。登場してくるジャーナリストに影響を与えたI. F.ストーンは、組織に属さず、地道な調査によってベトナム戦争をめぐる政府の嘘を次々と暴いていった名ジャーナリストだ。

同社では、3日からのインターネット配信に加えて、3月18日からアップリンク渋谷で上映を行う。同社の浅井隆代表は、「この映画で描かれていることが、米国だけの問題ではなく、日本でも問題提起する価値があると思い、トランプ政権発足後、緊急公開することを決めた」と話す。

■若者向けオープン会議も

海外留学を経験した大学生たちも動き出した。留学経験のある学生らからなるOpen Talk Café事務局は2月11日、識者と世界情勢について議論する学生向けイベントを行う。

異なる立場の3人が議論する

同イベントの名称は、「第1回 Open Talk Café」。このイベントは、トランプ政権が誕生するなど、大半の予想を覆すニュースが世界を駆け巡る中で、若者はそれらの出来事とどう向き合うっていくのか考えていくことを目的に企画された。

ゲストは、社会問題の現場を訪ねるスタディツアーを行うRidilover(リディラバ、東京・文京)を立ち上げた安部敏樹代表、ザ・ハフィントンポスト日本版の竹下隆一郎編集長、エウレカ(東京・港)の西川順共同創業者 取締役副社長COO&CFOの3人。

ゲストによるパネルディスカッション後、参加者を混ぜたオープンなディスカッションも行う。ファシリテーターは、文部科学省の留学奨学金制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」派遣留学生の安田知夏さん(東京大学大学院生)と渡部清花さん(東京大学大学院生)が務める。

会場はエウレカ本社のイベントスペース。時間は16時から18時で、対象は10~20代の大学生。参加費は1000円(高校生以下は無料)。定員は70人。

社会問題を考えることが苦手な人や無関心な人にも、この時期だからこそ、情報との向き合い方を見直すイベントに足を運んでみてほしい。

「すべての政府は嘘をつく」の公式サイト

第1回 Open Talk Café

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