昨年の春より関東で初めての自伐型林業研修をスタートさせました。チェーンソーの使い方から、伐倒、搬出、林内作業車の扱い方から作業道敷設まで、人任せにせずに、なんでも自分でやるという自伐型林業家を育成することを目的としてスタートし、昨年1年間で、1期生約15名(春)、2期生約30名(秋)がプログラムを終了し、2年目となる現在は3期生約30名が春の講座で学んでいます。(日本自動ドア代表取締役社長・吉原 二郎)

このプログラムは、NPO法人自伐型林業推進協会(講師派遣)と株式会社アースカラー(講座運営)と、弊社(研修場所の山林と宿泊場所の提供)が連携して開催しており、春と秋の年2回に分けて、林業家の育成に取り組んでいます。

林業と自動ドアには深い関係がある

なぜ自動ドアの会社が林業に関わっているのか疑問に感じられる方も多いでしょう。自動ドアは、ガラスとサッシと動力部で構成されていますが、元をただせば建物の入り口の引き違いの建具です。

建具はもともと木製でしたが、金属と比べて耐久性や防火性能に難点があり、アルミやステンレスといった金属製建具が主流になりました。自動ドアが世の中に普及し始めたのは、建具が木製から金属に移り変わった頃のことです。今では自動ドアといえば、完全に金属でできているイメージが定着していて、弊社でも圧倒的にアルミやステンレスの自動ドアをメインに販売しています。

他方で木製の自動ドアは密かな人気があり、割烹料理店や寺社仏閣で愛用されてきました。木製の自動ドアは、外観が古風で、どう見ても機械で動く自動ドアには見えませんが、近づけば自動で開くため、意外な驚きと新鮮さがあります。

何より木製の外観には自然の温かみがあり、風情のある旅館や寺社仏閣にはマッチしています。

弊社は、自社の山林で木を育てて、自前の木で作った木製自動ドアを新しい商品として市場に投入しようと試みているのです。この事業は、耐久性や防火性能といった高いハードルをクリアしなければならないものの、金属製品が主流になっている現在において、木という天然素材を工業社会の中にストレートに復活させるという新鮮な取り組みでもあります。

木製自動ドアの原料となる木は、埼玉県飯能市の西川材と呼ばれる全国でも有数の銘木です。西川材の産地として有名な埼玉県飯能市に山林を所有していて、もともと工場用地として山ごと購入した土地だったので、山はそのまま手入れをせず、山の麓に工場を建設して自動ドアの製造をしてきました。

3年ほど前に、千葉県で農業家の育成に取り組んでいる株式会社アースカラーの高浜大介代表から林業家を育成したいという話を聞き、それなら飯能の山を使ってやりましょうということになりました。

話はとんとん拍子に進み、NPO法人自伐型林業推進協会の中嶋健造代表をご紹介いただき、林業歴の長いエキスパートの講師を派遣していただくことになりました。その後は順調に進み、冒頭にご紹介した通り、多数の研修生を輩出しています。

これから金属から木製に回帰する時代がやってきます。我が国の国土の7割を山林が占めており、その資源を有効に使えば雇用創出につながり、地方創生が実現します。

3年後の東京オリンピックでは、国産材をふんだんに使おうというコンセプトで国立競技場の建設計画が進められているようです。

折しも全国で、およそ80年前に植えた人工林の伐採時期がそろそろ近づいており、林業家の育成と、木の新しい使い道に活路を開くイノベーションが求められています。

都市部で木製自動ドアをご購入いただいた方々の中で、希望される方には、ご自分が自動ドアで木を使った分だけ、弊社の山に植林していただくという環境循環型の消費に繋げていきたいと思っています。

さらに、余った端材や樹皮などは、バイオマス発電の燃料として使いつつ、蒸留機でオイルを蒸留抽出し、アロマオイルとして新しい命を吹き込み、オリジナル商品として販売していきます。

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