日本の若者の「政治離れ」が叫ばれて久しいが、果たして本当なのだろうか。2013年に行われた世界青年意識調査では58%の日本の若者が「政治に関心がある」と答え、韓国(62%)、米国(59%)、英国(55%)に引けを取っていなかった。つまり、「政治に関心がある」という基準を高く設定し過ぎるがあまり、「政治」との距離を取ってしまっているのではないか。(余承知=慶応義塾大学商学部2年、小林 咲月=慶応義塾大学法学部3年、徳田 千秋=桜美林大学リベラルアーツ学群4年)

若者とのワークショップに交じって参加する原田さん

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” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” class=””]まず、「政治参加」のあり方について考えたい。日本では政治に参加するということを投票率に置き換えてみる傾向がある。選挙に行かない人は政治に関して、「意見を述べる資格がない」というような風潮さえあるだろう。

もちろん、選挙というのは民意を政治に反映する大切な機会だ。より多くの人が参加することが望ましいことは言うまでもない。しかし、選挙のみが政治参加の方法ではないはずだ。

若者と政治をつなぐ活動を行うNPO法人YouthCreateではさまざまな手法で政治参加の機会をつくっている。

地方議員と若者の交流会「VotersBar」を全国で展開し、選挙の際に有権者がTwitterを通じて候補者に質問をすることができる企画も実施した。

特に力を入れているのが、参加・体験型プロジェクトだ。小学生から社会人まで、年代や状況に合わせてプログラム内容を一から設計している。その一環として実施しているのが、「学校出前授業」である。

中高生相手にも「出前授業」

これは同団体を立ち上げた原田謙介さん自らが学校を訪れ、主権者意識を啓発するものだ。気を付けていることは、いきなり「選挙」から始めないこと。

まずは駅前の再開発などを例にあげて、どのような街にしたいのかを話し合ってもらう。自分たちが住んでいる地域の街づくりを通して、政治への意識を高めることを狙った。これまでに68カ所で延べ1万2188人に向けて実施した 。

原田さんは、「若者と政治、それぞれが互いを知る機会があまりにも少ない」と指摘する。「少子高齢化社会における新たな民主主義のプロセスをつくる」ことをビジョンに掲げ活動を続ける。

■地域活動から政治の存在感じて

多くの若者は、心のどこかでは政治に参加したいと思っている。とはいえ行動を起こすには、政治というテーマはあまりに壮大かつ漠然としている。政治と聞くと遠く感じてしまう原因も、おそらくここにあるだろう。具体的に何をすればいいのか、こんな悩みを抱えている人へある一人の大学生を紹介したい。

現在19歳の富樫泰良さんは、大学に通いながら日本若者協議会代表理事を務めている。原田さん同様、彼もまた、政治に向き合う出発点として身近な地域活動への参加を勧めている。

ハフィントンポスト日本版のインタビュー(2016年7月19日)で、「政治とは無理やり押し付けるものではなく、地域の活動に関わっていく中で存在感を知っていくことが一番なのだ」と語っている。

大学生ながら若者の政治参加に関する本まで出版している富樫さんの全ての活動の始まりは、実は地域の清掃活動だった。その後、東日本大震災を転機として、富樫さんの活動は若者の政治参加へと向かっていったのだが、根底にあるのは「地域を支えたい」という思いだ。

海や街での清掃活動、商店街のお祭り、防災・防犯のパトロール――地元での絆を深めながら、いつの間にか政治に参加していたという。

家族や仲間と楽しみながら、愛する地域に対して自分に何ができるかを考えていく。これこそが、理想的な政治への関わり方ではないだろうか。

この気風が広まっていき、政治という言葉が明るい響きを持って若者に迎えられる日はそう遠くないだろう。原田さんや富樫さんが生き生きと活動する姿は、そんな希望を我々に届けてくれる。

*この記事は日本財団CANPANプロジェクトとオルタナSが開いた「NPO大学第2期」の参加者が作成しました。

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