署名サイト「Change.org(チェンジドットオルグ)」は1月10日、ビジネスモデルについて同サイトで説明した。「ユーザーに許可を取らずにメールアドレスを第三者に販売したことはない」と強調し、月額1000円からの会員費と団体からの広告費のみで運営していると述べた。SNS上では、同サイトが「無断でメールアドレスを販売している」といった投稿が出ていた。(オルタナS編集長=池田 真隆)

Change.orgのサイト

この経緯はこうだ。ブロガーの村上福之氏が1月9日付けのブログで、「Change.orgは登録したユーザーのメールアドレスを販売している」「海外ではスパム業者のような扱いをされている」などと批判した。

このブログの見出しは、「夫婦別姓には大賛成ですが青野さんにはChangeorgを使ってほしくなかったです。スパム業者なので。」。このブログで触れている「青野さん」とは、サイボウズの青野慶久社長のこと。青野社長は夫婦同姓・別姓を選べる「選択的夫婦別姓」を求める訴訟を起こすことに際して、同サイトで署名を集めている。

ブログの本文では、「(Change.orgは)スパム業者ではないかという評判が海外では多い」と書いているが、見出しで「スパム業者なので」と断定。SNS上ではChange.orgのことを、無断でメールアドレスを販売している悪徳業者だと誤解するユーザーが出た。このブログは現時点で削除されている。

これを受けて、Change.orgは1月10日、同社のサイト上に、ビジネスモデルについて説明した文章を掲載した。文章は下記。

Change.orgは個人情報、メールアドレスをユーザーに無断で第三者に販売したことはありません。
https://www.change.org/policies/privacy#3
c. 広告主および広告ネットワーク

ユーザーが選ぶ場合のみ、またユーザーが具体的に同意する場合にみ、弊社は、ユーザーの電子メールアドレス、郵送先住所およびユーザーが署名したキャンペーンを含めたユーザー情報を広告主と共有することがあります。 また、ユーザーが別途同意した場合にのみ、その電話番号を共有する場合があります。 その後、広告主はこの情報を使用して、ユーザーに連絡を取ったりユーザーの関心に沿う販売促進資料をユーザーに送信することがあります。 弊社では、ユーザーが弊社の広告主から受信するメッセージのコンテンツまたは頻度は管理しません。

2016年までは、スポンサーキャンペーンというビジネスモデルをとっていました。

これは非営利団体が広告主となり有償でキャンペーンを行うものでした。このプロダクトでは、キャンペーンに賛同するプロセスの中で賛同者にオプトインのチェックボックスが表示され、この広告主団体から今後も情報が欲しいか、寄付をするか、といった意思を確認されます。そこにチェックした賛同者のみ、連絡先の情報が広告主に提供されるものでした。このビジネスモデルでは、積極的に同意したユーザーの連絡先情報のみ、広告主に提供されました。

現在のビジネスモデルは会員による月々1000円からの会費と、キャンペーン広告というサイト内での表示回数を上げるためのプロモーションへの入金です。

(引用終わり)

このブログでは、Change.orgはユーザーの同意があれば個人情報を広告主に提供していると書かれており、この記述について、Change.org日本代表のハリス鈴木絵美さんは、「間違ってはいない」としたが、「ユーザーの判断なしに個人情報を第3者に共有することはしたことがない」と強調。

個人情報を販売していた時期は2013年から2015年で、わずか数件だけだという。キャンペーンの広告主に親和性を感じたユーザーの同意の上で情報を提供していた。2016年からはビジネスモデルを変えて、「個人会費と広告費だけで売上を立てている」(ハリス鈴木絵美さん)。

Change.orgは2006年に米国で立ち上がった社会的企業。個人やNPOが環境、人権、経済格差など様々な社会問題の解決のためにキャンペーンを立ち上げられ、同サイト上で賛同者を募ることができる。

日本では2012年から展開している。ユーザー数は約50万人。米国を拠点に活動するNPO法人B Lab(ビー・ラボ)から、「ビジネスにおける成功を再定義」することを目指す企業として、「ビー・コーポレーション(B Corporation)」の認定を受けている。

Change.orgのミッションは、「『変えたい』気持ちを形に」。SNSの発達で、誰もが声をあげられるようになり、日々キャンペーンが立ち上がっている。このミッションに共感したビル・ゲイツやアリアナ・ハフィントンら投資家たちから5000万ドル以上の資金調達に成功している。


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