北海道から沖縄まで、全国約30のゲストハウスが集い、ゲストハウスの「次」を提案する「ゲストハウスサミット〜私たちからの再提案〜」が3月2日に開かれます。主催者の1人で、東京浅草橋で地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」を運営する柚木理雄さんから開催への思いを寄稿してもらいました。(寄稿・Little Japan代表=柚木 理雄)

■空き家活用、インバウンド、、、地域おこしで注目され、急増しているゲストハウス

日本全国で820万戸の空き家があり、市町村によっては空き家が3割以上、といった地域も増えてきています。

人口減少は今後も進み、これからも空き家が増え、また人口が少なくなることにより、産業が成り立たなくなるといったことも起こっています。

一方で、海外からの旅行者が増えていることを背景に、「観光」は地域おこしの鍵になる新たな産業として注目が集まっています。

そのような中で、空き家活用の手段として、また、空き家を活用した海外からの旅行者が宿泊する施設として、全国で急激にゲストハウスが増えています。

東京/地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」

千葉/お茶の間ゲストハウス

■補助金等も活用されてつくられる。そこに事業として継続できる計画はあるのか?

空き家の活用/観光という新産業の創出という、社会問題の解決を背景に、行政等も推進し、建物の改修費や建築費に対する補助金、地域おこし協力隊の制度を利用した人件費に対する補助金などを活用し、まずは作ってみよう、そんな動きがたくさんあります。

そこに、事業として継続できる計画がある場合、ゲストハウスにする、という手段は、空き家活用の手段としては非常に有望だと思っています。

一方で、日本や海外からの旅行者がそこに来て利用されるのか、については、あまり考えられていないケースが多く、つくれば来るのでは?というような安易な計画が多いように感じています。

とりあえずゲストハウスという箱をつくるのが目的になってしまっている行政。「ゲストハウスがとにかくやりたい!」と、ゲストハウスをつくるのが目的になってしまっている方がタッグを組み、このような事例を、補助金まで使って生み出してしまっています。

つくるのは簡単で続けていくのが難しいのに。このままでは、再びゲストハウスは空き家に戻ってしまうのではないかと危惧しています。

家は利用していないと利用できなくなる

■まずは現状を知ってほしい。そして新たな可能性を一緒に考えたい

誤解をいただきたくないのは、私は、そこに続けられる計画があれば、空き家活用の手段として、また新しい産業の創出手段としてゲストハウスは有効であり、補助金を活用して推進していくことも、時にはあっても良いと思っているということです。

そしてそのため、これからゲストハウスを、推進していこうとされている行政の方や、つくりたいと考えられている個人、企業、NPOの方などに、ゲストハウスの現状をよく知っていただいた上で、進めていただきたい、という思いがあります。

宿泊施設が不足している、と言われていたのは、過去の話であり、今は宿泊施設過多となってきていること。

また、ゲストハウスを誰でも始めれば事業になっていたのは過去の話であり、今ゲストハウスとして、知られている・人気のあるゲストハウスは、まずは、宿泊施設として様々な工夫を凝らしていること。

そして宿泊施設としてではない、様々な機能をもっているということ。

その機能は、地元の人も立ち寄れるバーを併設していることで、移住希望者と地元の方との接点をつくったり、移住お試し住宅になっていたり、アーティストたちのアトリエやギャラリーになっていたり、アンテナショップ的な機能を持ち・東京や海外へのPRスペースになっていたり。

そして、この機能というのは、場当たり的に生まれてきた、というわけではなく、そのゲストハウスができる時から、しっかりとデザインされた中で、できてきているということです。

空き家活用の手段として、また新しい産業の創出手段としてゲストハウスにはまだまだ可能性があると考えています。

つくったけれど、また空き家に戻る。

そんな不幸をなくしていくためにも、市場環境、そして現在の人気のゲストハウスで行われている様々な取組などの、現状を共有した上で、ゲストハウスという「場」の可能性、それを、今回のゲストハウスサミットで、お話を重ねていくなかで、提案できればと思っています。

長野県/古民家ゲストハウス「梢の雪」

■起業、移住、二拠点生活、地方創生、旅、、、ゲストハウスという枠を超えたプログラム

今回は、ゲストハウスという「場」の新たな可能性について、がテーマです。

参加オーナーのバックグラウンドも様々。ゲストハウスの場所も、東京から、離島や山奥まで、本当に様々参加ゲストハウスの提供している価値も様々です。

第1部〜第4部までそれぞれ2つ、計8つのテーマについて語ります。

今後も、毎年開催場所、テーマを変えながら、ゲストハウスの可能性について話ができればと思っています。

広島県/広島ゲストハウス縁

高知県/かつおゲストハウス

ゲストハウスサミット詳細
とき:3月2日(金)15時-21時
ところ:広島県広島市中区 八丁堀11-8 エフスペースビル7F、8Fバニヤンツリー ~ Banyan Tree ~(立町駅から徒歩2分)
参加費:1セッションのみ:2000円(税込)
全セッション参加し放題:3000円(税込)
◆申込
http://guesthouse-summit.com/
◆問い合わせ
info@guesthouse-summit.com

【プログラム詳細】
第1部
テーマ①:地域間連携×ゲストハウス
ただ泊まるだけでなく、地域とのつながりができるゲストハウス滞在の魅力を語ります。

テーマ②:新卒起業と、とりあえず働いてから起業
オーナーには、学生を卒業してそのまま起業をした者も元官僚もいます。
どんな風に起業したのか、どんなキャリアプランを描いしているのか語ります。

第2部
テーマ①:地方と都会と中間
地方にあるゲストハウス、都会にあるゲストハウス、中間にあるゲストハウス。
それぞれの場所にあるゲストハウスオーナーがそれぞれの魅力を語ります。

テーマ②:ユースホステル×ゲストハウス
ユースホステルとゲストハウスってどこが違うの?とよく聞かれます。
ユースホステル協会の方と一緒に、旅する人を心を込めてお迎えしたいという点で共通している私たちが、これからできることについて語りたいと思います。

第3部
テーマ①:旅して生業を創る
旅が仕事になるの?
そんなことを少しだけ実践している登壇者を交えて、やりたいこと!と向き合うこと。それらを、生業に変えること。
やりたいで、生きる。そんな暮らし方を考えます。

テーマ②:オーナーとスモールトーク
オーナーたちと仲良くなりたい。もっと深く聞きたい。
このセッションは、少数グループに分かれてオーナーたちと語ります。
オーナーたちと一番仲良くなれ、聞きたかったのに聞けなかったという心配もありません!!

◯4部(19:30-21:00)
テーマ①:ゲストハウスの次の可能性~場づくりと人つなぎ~
ゲストハウスは、ただの宿泊施設ではなく、地元の人も立ち寄れるバー、アンテナショップ、移住お試し住宅、、、そのスタイルは日を追うごとに多様化しています。日本や世界中から人が集まり、地域、行政、企業、NPO、学生とも連携する所も現れ、国籍、年齢、職業、学歴を超え出逢え、つながることのできる「場」。ゲストハウスの次の可能性やその場づくりについてみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

テーマ②:どうやって生きていく?どうやって働いていく?
生きるために働くの?働くために生きているの??
棲家も生業も選択する自由な未来。
そんなことを、一緒に考えてみませんか?


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