認定NPO法人アニマルライツセンターは9日、企業のアニマルウェルフェア(動物福祉)に対する取り組みを表彰する「アニマルウェルフェアアワード(以下AWA)」を発表した。今年度は鶏と、豚のアニマルウェルフェアの向上に大きく貢献したイオン、ラッシュジャパン、貞光食糧工業、ホライズンファームズ、IKEAの5社を表彰した。(オルタナS編集長=池田 真隆)

アニマルライツセンターによるアニマルウェルフェアアワード

アニマルウェルフェアは動物を適正に取り扱うことを科学的に定めた考え方だ。「飢餓と渇き(からの自由)」「外傷と疾病(からの自由)」「肉体的苦痛と不快(からの自由)」「恐怖や不安、抑圧(からの自由)」「正常な行動(の自由)」――の5つを基本原則とする。

アニマルウェルフェアの基本原則

今回、選ばれた5社の取組と表彰理由は下記。

【鶏賞】
◆イオン

2020年にイオンはプライベートブランドのケージフリー卵を販売開始。2020年中に販売店舗を増やし、さらに2022年までに全国に展開していくことをメディアや消費者に約束した。アニマルウェルフェアに取り組んでいくことを明言し、消費者に期限を付けて約束をしてくれたイオンの姿勢を評価した。

◆ラッシュジャパン
2019年にラッシュジャパンは全商品からケージフリー卵(平飼い卵)をとりのぞき、エッグフリー商品にする選択。ラッシュジャパンはこれまでもケージフリー卵を選択してくれていたが、そこにとどまらず、さらに動物たちへの苦しみを減らすためにエッグフリーの選択をしたことを評価した。

◆貞光食糧工業
貞光食糧工業は、把握する限り日本で初めて、そして唯一、ガスで鶏の意識を失わせる方式を採用している食鳥処理場。現在鶏の屠畜方法として、ガススタニングが最善策の一つであり、世界中が移行している。ガススタニングをいち早く導入し、かつ、アニマルライツセンターに対し、その知見を共有してくれたことを評価した。

【豚賞】
◆ホライズンファームズ
2020年にホライズンファームズは日本で初めて、母豚をストールに閉じ込めないことを消費者に約束した。動物保護団体を通して食肉業者がストールフリー宣言する心境の複雑さを何か月も真剣に悩みぬいた結果、宣言の公開に踏み切ってくれた。動物たちや社会の未来を考え、初のストールフリー宣言をしてくれたことを評価した。

◆IKEA
2019年にIKEAは多くの植物性たんぱく質を使った、安価な商品を発売。植物性ホットドッグ『ベジドッグ (¥ 100)』はCOP24でも提供されたものであり、豚肉の苦しみを明確に減少させてくれる商品であり、かつ多くの人に手に取りやすい価格設定。飼育改善にも取り組みつつ、植物性たんぱく質への移行を始めたIKEAの姿勢を評価した。

アニマルライツセンターでは、消費が過剰であることで、アニマルウェルフェアを大きく阻害している「採卵鶏」の改善を行うため、同日、「ケージフリー?ORエッグスマート?キャンペーン」を発表した。企業に鶏の飼育を平飼いまたは放牧に変えていくことや卵の使用料を減らすことを宣言させる。

ケージフリー?ORエッグスマート?キャンペーン

アニマルライツセンターの岡田千尋代表理事は、「日本は卵の消費量が世界第2位(一人あたり年間337個)であり、この過剰な消費量がケージフリーへの変化を阻害している大きな要因であるため、「良いものを少量」という大量生産・消費を変えたい」と話す。

アニマルウェルフェアアワード
ケージフリー?ORエッグスマート?キャンペーン




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