カルチャーと自然エネルギーの親和性の高さはかねがね指摘されてきた。ここでいう「カルチャー」とは音楽、アート、ファッション、映画などを指す。今日は、まさに今現在動き出している「ファッション×エネルギー」の一つの動きについてお伝えする。(寄稿・平井 有太)

例えば今月15日までポーランドで開催されていたCOP24で、世界のファッション業界が結束し、CO2の排出を2030年までに30%削減することを表明したニュースは記憶に新しい。

期せずして本年、日本では11月30日から12月25日まで、ZOZOTOWN限定でUNDERCOVER(アンダーカバー)、nonnative(ノンネイティブ)、BAL(バル)という3ブランドによる再生可能エネルギーへの「電力切り替え記念Tシャツ」が受注生産で販売中だ。値段はそれぞれ5〜6000円で、各ブランドにとってそれぞれ破格の安価である。
 

UNDERCOVER×みんな電力

nonnative×みんな電力

BAL×みんな電力

アンダーカバーはまだ40代の高橋盾氏率いるパリコレ常連ブランドで、世界的にも高い評価を得ている。ノンネイティブ、バルも20年以上にわたって熱心なフォロワーを国内外に有する、業界を牽引する「顔」だ。
 
商品にはそれぞれ、アンダーカバーには「THE CHOICE IS YOURS」、ノンネイティブには「POSITIVE ENERGY, HEADING FORWARD」という言葉がデザインされ、バルには世界的に活躍するNYのアーティスト、ホセ・パルラ氏とのコラボレーションで「Be Aware of Your Existing Freedom」というメッセージが施されている。同文は意訳で、「すでにある自由(権利)を認識せよ」ということだ。
 
3ブランドが電力を切り替えた先は、みんな電力だ。同社は「顔が見えるでんき」を掲げ、ブロックチェーン技術によって「電力のトレーサビリティ」を実現させている。つまり2016年4月の電力自由化以降、私たちに与えられた「エネルギーを選ぶ自由」を可視化させ、色も匂いもない電気に付加価値を与え、消費者に想いの込もったエネルギーの選択肢を提示できる国内唯一の電力会社である。

売り場を提供するZOZOTOWNは千葉県に強いこだわりを持つことで知られ、お膝元には全国的に広がる「ソーラーシェアリング」を牽引する千葉エコ・エネルギーの発電所がある。ソーラーシェアリングとは、農地の上に農業を妨げることなくソーラーパネルを設置する発電方法。全国的に後継者問題などを抱える農家の収入増に直結する最新技術で、地域振興の起爆剤としても注目を集めている。

今回3ブランドの商品を購入し、さらに千葉エコ・エネルギーの電力に切り替えた方には、パネルの下で採れた農作物や加工品のプレゼントも用意されている。つまり「理想」として語られてきたエネルギーを含めた地域循環型の社会モデルが、ファッションを通じて今すでにそこにあるということだ。

この取り組みを仕掛けたみんな電力は、世界的にも先駆的な本企画の広がりに手応えを感じているという。今後も組むブランドや業界を変えながら、その自由化から2年半以上が経ってなお約1割に留まっている個人の電力切り替えを促す施策を、模索していく。

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