元モデルのマリエさんが手掛けるファッションブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS」がこのほど、廃材を使ったラグを製作するためクラウドファンディングで資金調達を行っている。日本の工場で出される生地の端材を集めラグにする。マリエさんは、「生産から廃棄までを考慮し、モノづくりを見直したい」と話し、これを「ゼロデザイン」と名付けた。(オルタナS編集長=池田 真隆 写真=高橋 慎一)
■「余り」をアートへ
通常、服の生地を使うときには、両端を切り落とす。これを端材というが、品質が悪いわけではない。縫製する際に、余分になってしまうから切り落とし、費用を掛けて捨てている。
そこで、同ブランドでは、大量に捨てられる端材を集め、色や形を揃えて、ラグマット「THE LEFT OVER RAG」に変えた。廃棄される素材を使って、製品化する「アップサイクル」と呼ばれる手法だ。
今年の8月末から9月上旬にかけて、三越銀座店でポップアップショップを出し、Tシャツなどに加えてこのラグも店頭に並べた。32枚限定で販売したが、1週間の期間で28枚が売れるほど好調だった。
このラグの定価は、1万6800円~3万6800円。マリエさんは、「多くの人がこのラグを安いと言ってくれた。おそらく、ファストファッションに慣れている人はどうせ捨てると頭の隅に考えながら買っている。でも、これは捨てたくない。だから、その人にとっては、この価格帯でも安い商品になった。ファストファッションが流行したおかげ」と話す。
クラウドファンディングの支援者には、ラグが届けられるが、製品はすべて1点もの。素材は、ウール、アルパカ、コットンなどが混ざっている。
アパレル業界はシーズンによって服を入れ替えるため、大量生産大量消費を繰り返す。その結果、環境問題や労働問題につながっている。同ブランドでは、クラウドファンディングを使い、「必要な分だけ生産」する生産体制にしていきたいという。
マリエさんは、大量生産・消費を繰り返す構造を変えるためには、「商品の生産、流通、廃棄まで考慮して、モノづくりをゼロからデザインし直さないといけない」と強調。今回のラグでは、廃棄物を使ったアップサイクルと受注生産にすることで、ゼロウェイストな生産を目指す。
クラウドファンディング「Makuake」で資金を来年の2月27日まで資金を募っている。目標額は50万円。