ユニバーサルデザインの研修などを行うミライロ(大阪市)は、「第3回 Bmaps杯(ビーマップカップ)」を開いた。本イベントは、アプリを通してバリアフリー情報の投稿数等を競い合うもので、 24の企業・団体が参加した。ベストバリアフリー部門(企業・団体)とベストインフルエンス部門の1位には2大会連続で大和ハウスグループが輝いた。(オルタナS編集長=池田 真隆)

2月9日に都内で開かれたBmaps fesに集まった約100人の参加者

Bmaps杯とは、一定の期間内でバリアフリー情報の投稿件数等を競い合うイベントだ。レストラン、宿泊施設などの段差の数や設備について、株式会社ミライロが開発したバリアフリー地図アプリ「Bmaps」上に投稿する。一つの施設で、「スポットレビュー」「入口の段差の数」「コメント」「写真」「特徴・設備」─の各項目の投稿でコインを1枚獲得できる仕組みだ。

ダイバーシティの推進に力を入れる企業など24の団体から合計1080人が参加した。今回は2018年12月1日から2019年1月23日までの期間で投稿件数は1万5千件を超えた。

同アプリは日本財団からの支援を受け、特定非営利活動法人CANPANセンターと共同運営を行う。目的は「誰もが外出できる社会」をつくること。ユーザー数は2019年1月末時点で1万1907人、バリアフリー情報が投稿された飲食店や施設などが約11万件掲載されている。

雪の中、百人が集結

ワークショップにはミライロの垣内社長
やゲストの東ちづるさんなども参加した

2月9日には、同アプリのユーザーや識者、協賛企業を集めた交流会「Bmaps fes」を日本財団(東京・港)で開いた。朝から雪が降った日だが、約100人が参加した。グループディスカッションでは、「障がい者の外出」と「IT」や「起業」「おもてなし」などを掛け合わせて議論した。Bmaps杯のベストバリアフリー部門(個人)で3連覇を達成した磯谷俊仁さん(34)も議論に参加。

磯谷さんが獲得したコインの枚数は4908枚で2位に1800枚もの差をつけて圧勝した。八王子市在住の磯谷さんは二分脊椎症で20代中盤から車イスに乗るようになった。あるとき、外出先でトイレが見つからず困ったことがきっかけで、Bmapsに投稿するようになった。「自分が求めている情報を投稿している。もっとバリアフリー情報が広がってほしい」と話す。

「多様な視点、本業にも」

ミライロ垣内俊哉社長㊨から表彰を受ける大和ハウス工業CSR部社会責任グループの中山氏

ベストバリアフリー部門(企業・団体)とベストインフルエンス部門で2冠を2大会連続で達成した大和ハウスグループでは、誰もが安心に暮らせるためのまちづくり活動として「ソーシャル・インクルージョン・プログラム」を全国で展開している。同プログラムを実施した事業所の従業員やグループ会社に協力を要請したところ、前回の2倍となる134人が参加した。

同社CSR部社会責任グループの中山重雄氏は、「Bmapsへ投稿することで多様な人の外出を支援するだけでなく、設計業務における多様な視点にも気付ける」などと、Bmaps杯への参加を通して社内のバリアフリーへの意識が高まっていると認識する。

ベストバリアフリー部門(企業・団体)の2位にはこちらも2大会連続でIT企業の株式会社アイエスエフネット(東京・港)が入った。同社の入澤徹郎・広報戦略室プロモーション企画部部長は、「社員の人間性を育てることに役立っている」とBmaps杯へ参加した収穫を話す。

「投稿がさらに増えることで、飲食店や施設側がユニバーサルデザインを意識するようになり、障がいのある人が外出しやすいようになる。Bmapsの成長に貢献したい」2020年の7月から8月にかけて、約7.5万人の車イスユーザーが来日すると予測されている。Bmapsでは、今後AIでの多言語レビュー機能を実装する予定だ。現在は日本語、英語、スペイン語の3言語に対応しているが、3月には中国語と韓国語にも対応する。

Bmaps fesに識者として参加した一般社団法人Get in touch代表の東ちづるさんは、「今日ここで話し合った内容を社会にどんどん発信してほしい。バリアフリー情報が広がることで社会が変わっていく」と訴えた。

第3回 Bmaps杯 結果一覧
総コイン数 : 63646コイン(15651レビュー相当)
参加者数  : 1080人
参加企業数 : 24企業(団体)

◆ベストバリアフリー部門 企業(団体)
※企業(団体)ごとに、投稿によって獲得したコイン数を競う部門
1位:大和ハウスグループ
→19220コイン(4774レビュー相当)
2位:株式会社アイエスエフネット
→14947コイン(3369レビュー相当)
3位:公益財団法人笹川平和財団
→8045コイン(1855レビュー相当)

◆ベストバリアフリー部門 個人
※ユーザーごとに、投稿によって獲得したコイン数を競う部門
1位:磯谷 俊仁さま
→4908コイン(1812レビュー相当)
2位:オクタンさま
→3210コイン(602レビュー相当)
3位:まるおさま
→1500コイン(360レビュー相当)

◆ベストインフルエンス部門
※企業(団体)に所属しているユーザー数を競う部門
※ ユーザーは、「投稿期間中にBコインを獲得したユーザー」に
限ります
1位:大和ハウスグループ →134人
2位:金城学院大学コミ福2018年度生 →36人
3位:株式会社アイエスエフネット →35人

◆グッドレビュー部門
※ ユニバーサルデザインのプロフェッショナル(審査員)に
より、優れた投稿を決定する部門
【安藤審査員グッドレビュー】
・投稿者:のりくんさま
・スポット名:framboise
(審査員:NPO法人 MAMIE 代表 安藤 美紀)
【垣内審査員グッドレビュー】
・投稿者:たかせさま
・スポット名:シアトルズベストコーヒー
江戸堀センタービル店
(審査員:株式会社ミライロ 代表取締役社長 垣内 俊哉)
【平原審査員グッドレビュー】
・投稿者:緒方 泉さま
・スポット名:三重県総合博物館(MieMu)
(審査員:hullabaloo 代表 平原 礼奈)

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