愛媛県松山市に事務所を構える公益財団法人「えひめ地域政策研究センター」(以下ECPR)は地域政策及びまちづくりに対して総合的な調査研究・公表を行っているいわゆる「自治体シンクタンク」である。研究機関の情報発信の仕組みや情報サービス事業について、将来に向けた構想を研究部長の白鳥和樹さんに話を聞いた。(武蔵大学松本ゼミ支局=岡田 拓也・武蔵大学社会学部メディア社会学科2年)

えひめ地域政策研究センター研究部長の白鳥和樹さん

ECPRは愛媛県が出資した「愛媛県社会経済研究財団」を母体とし、同じく愛媛県が出資した「愛媛県まちづくり総合センター」を統合して設立された。ここでは独自の調査研究だけでなく、成果を広く公表し地域活性化を目標としている。

様々な事業に取り組んでいる中、我々は機関誌の発行に注目した。現在3種類の機関誌を発行しており、愛媛県内のイベントを紹介している「えひめイベントBOX」、ECPR独自の研究の成果を公表している「調査研究情報誌ECPR」、まちづくり情報誌「舞たうん」がある。

ECPRが発行している3種類の機関誌。左から「えひめイベントBOX」「調査研究情報誌ECPR」「舞たうん」

3種類ある機関誌のなかでも年1回発行されている「えひめイベントBOX」は、愛媛県内の地域や季節ごとに開催される大小さまざまなイベントを紹介し、観光客だけでなく地域住民にも発信している。特に小さな規模で行われているイベントというものは認知度も低く参加者も多くない傾向にある。そこで地域全体を網羅できるようなイベント情報誌が、「えひめイベントBOX」である。

これからの情報サービス事業について伺ったところ「地域にニーズがあるので、まず大前提として各種情報誌は何らかの形で引き続き発行していきたい。紙媒体にかかるコストを減らし、発信する媒体も紙媒体にこだわらず、最新の媒体を活用しながら情報提供をしていきたいですね」と語る白鳥さん。

地域課題が多様化するなか、紙面には限りがある現状を受けて情報誌に掲載する課題の選定や、地域課題を公表するまでの人員の確保も問題があると白鳥さんは考えている。課題に対し、即時情報を発信できるように整えたいと意気込みも語っていた。

従来の研究施設としてのシンクタンクのような位置づけではなく、研究機関自らまちづくり活動に関わっているECPRは、今までのような行政への情報提供だけでなく、地域主体となるような事業の未来像を描いていた。

しかし、同時に地域課題の多様化が進むなか情報発信の難しさも感じていた。研究だけでなく活力ある地域づくりを目標とした活動として行政と地域の関わり方に注目していきたい。

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