メキシコ代表選手たちとトルカデロ広場で 写真提供:BIGISSUE基金
ホームレスワールドカップ(HWC)2011が8月21日から28日までフランス・パリで行われた。今大会には過去最高の64カ国が参加し、日本代表「野武士JAPAN」は全15試合を戦った。被災地ボランティアの報告会に始まった彼らの8日間を聞いた。
★ホームレスワールドカップについて詳しくはこちらの記事をご覧ください
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今年4月頃から本格的な練習に取り組んできた野武士JAPAN。仕事の合間を縫って練習試合や合宿を重ねた。しかし、残念ながら大会最後まで悲願の一勝をあげることはできなかった。当初は応援してくれた声の一部は負けが続く中で失望へと変わったともいう。
選手たちの中にもいつの間にか諦めにも似た感情と共に焦りもあったのかもしれない。回りの高い期待の中で思いが爆発することもあったという。最初の4日間はケンカばかりが続いた。
しかしみんなで本音をぶつける中で変化が生まれた。キャプテンの松田良一さんは「本音だけで話すとどうしてもぶつかってしまう。だけど言いたいことを言っていく内に少しずつ勉強した」という。ボランティアコーチの谷本貴信さんも「途中から相手を思いやる気持ちが芽生えてきたと思う。」と選手の変化を感じた。
「やっとチームがまとまったのは最後の2,3試合」と松田さんの言葉のとおり最後のスペイン戦では2対5と善戦した。
しかし、それでもやはり力の差はあった。例えばカンボジア代表は17歳から20歳の若い選手。日本の選手は平均年令が38歳と体力的に大きな差がある。また準優勝のメキシコは15000人以上の中から8人の代表が選抜されたという。
このようにホームレスワールドカップは各国の社会の写し鏡にもなっている。女子部で優勝したケニアの代表選手たちは普段ゴミ捨て場の近くで寝ている。また2008年のオーストラリア・メルボルン大会では参加した海外代表選手のうち15人が亡命を求めたという報道もある。
(AFP通信:「ホームレス・ワールドカップ」、終了後に亡命申請15人も)
とはいえサッカーを前にそのようなことは関係ない。大会中には宿舎が同じだったカンボジアの選手たちとは折り紙で、陽気なメキシコ代表とはサッカーをしたりと交流を楽しんだ。大会途中で怪我をした松田さんのギブスには各国代表からのメッセージもつまっている。
ホームレスWCはそれぞれがひとり立ちするための準備期間。サッカーを通して人とぶつかって、おもいやり、信頼を築いていくことが大切なのでありその意味において日本代表選手は勝利を勝ち取ったのではないだろうか。
野武士JAPAN最年少の高城秋雄さんは「ホームレスWCが終わったから何か特別なことが始まったわけではない。今の状態から抜けるための努力は今までもしてきたし、これからも続けたい」と、自立への通過点をきちんとこなせたという自信がうかがえる。
高城秋雄選手 写真提供:BIGISSUE基金
毎年開催されるホームレスワールドカップ、来年はメキシコで行われる。しかし来年も必ず参加できるというものではない。参加費用のみならず多くのボランティアの方の協力が必要なのだ。そしてそれらはみんなに知ってもらうことから始まるのだろう。
「ホームレスワールドカップって知ってる?」
明日のそんな会話が来年の新しいドラマにきっとつながるはずだ。(オルタナS特派員 大下ショヘル)
オフィシャルHP(英語) http://www.homelessworldcup.org/
野武士ジャパン http://www.nobushijapan.org/(フェイスブックはこちら)
BIGISSUE基金 http://www.bigissue.or.jp/index.html
★YouTubeに試合動画が上がっています!例えば韓国戦はこちら★