働くということについて考えない人間はいない。宝くじを当てて、仕事を辞めたいという夢を持つ者もいる。でも、一歩引いて見ると、働くって企業に勤めることだけじゃない。どう生きたいかがどう働くかにつながっているのだ。
この日のパネルディスカッションに集ったのは3人の豪傑。“あなたの暮らしと世界を変えるグッドアイデア厳選マガジン”greenz.jpの編集長である兼松佳宏さん。2010年に開催された「世界を変えるデザイン展」の実行委員長である(株)Granma代表の本村拓人さん、在学中ミクロネシア連邦ヤップ島に滞在した後、日本全国70以上の農山漁村集落を訪ね歩く友廣裕一さん。
檀上に座布団を敷いて、座る3人。堅苦しい印象はない。会場を見渡すと若者が多い。テーマがテーマだけに同世代が集まったのだろう。
大事にしている言葉、人生最大の挫折、人生を変えたきっかけ、贈り物としての仕事、毎月いくら必要? などの気になるテーマを参加者が挙げ、自由に、気楽に語る形式で進められた。最初と最後に参加者同士の交流として感想を言う時間などを設けたのも良かった。
特に印象的だったのはそれぞれが大事にしている言葉。本村さんは「今に狂えるバカなヤツ」という言葉を常に意識しているそう。Imaginativeどうかは常に自問し、「どんなにお金がもらえる仕事でも、その基準に照らし合わせて、違うと思った場合には断わる」と言う。友廣さんは迷った時にこそ「検索しない」ことを大事にしている。ググればすぐに欲しい答えが出る世界だけれど、時には自分の力で解決することも必要かもしれない。
参加者からは「何か物事を起こす時、声を上げる人間も大切だけれど、上げ続けられる人間になりたい」「今自分は何か新しいことを始めるような情熱は持っていない。だけどこれから様々な経験を積んで、いつかは他の方と同じように声を上げたい」という感想が聞かれた。参加者にとっても働くこと、生きることに対して考えるいい機会になったようだ。(オルタナS特派員 原彩子)