老舗子ども服ブランドのギンザのサエグサは、環境や社会貢献活動に取り組むキーパーソンを招いた対談企画を行っています。今回、ゲストに招いたのは、自然化粧品・自然食品の販売を手掛ける株式会社ニールズヤード レメディーズ社長の梶原建二さんです。大人のためのホリスティックな学びの場やヴィーガンレストランも運営し、「内面からの美しさ」を提唱してきました。創業から守り続けている「疑わしきは扱わず」の精神に基づくものづくり、気候変動に関するセミナーを無償で続ける思いなどについてお話を聞きました。

梶原社長(右)と三枝社長の対談はニールズヤード レメディーズ表参道本店で行われた

◆対談 Green Dialogue vol.12 (前編)

環境保全、環境教育などを通して社会貢献に取り組むさまざまなスペシャリストに、弊社代表の三枝 亮が話を伺う「Green Dialogue」。第12回目のゲストは、自然化粧品・自然食品の販売を手掛ける株式会社ニールズヤード レメディーズ社長の梶原建二さんです。美しさに健康と環境を直結させた製品の販売を通して、真に豊かなライフスタイルを推進しています。創業者との出会い、大切にしている「疑わしきは扱わず」の精神や、気候変動に関するセミナーを無償で続ける思いについてお話を聞きました。(撮影:Yoshihiro Miyagawa)

――梶原社長とニールズヤード レメディーズ(以下ニールズヤード)の出会いについて教えてください。

梶原さん:創業者ロミー・フレーザー女史との出会いは35年前に遡ります。イギリスで、知人の紹介で出会いました。当時イギリスでは環境汚染が問題になっており、もともと教師だった彼女は、健康と環境は密接に結びついているのではないかと思ったそうです。それで、健康と環境を一緒に取り扱えるような、もっと身近な製品をつくりたいと立ち上げたのがこのブランドです。

ロミーはもともとヒッピー、自由人だったと思います。イギリスの文化は音楽、芸術すべて、個を大切にしますから、人と違っていることをするのがいいと考えています。クリエイティブは集団から生まれないと思っているし、人と違うことをやってこそ、それが自分自身の証であると考えるカルチャーです。日本とは非常に違いますよね。イギリスにはそれを受け入れる土壌がある。新しいことをやる人に対して周囲の理解がある国です。

色鮮やかなブルーボトルは紫外線を防ぎ、繊細なアロマやハーブの素材を、保存料を使わずに提供することを可能にした。使用済みブルーボトルは全国で自主回収して、店頭でディスプレイに使われたり、リサイクルして様々な形に生まれ変わる

――イギリスって、ファッションや音楽をみてもすごく時代の先を行ってます。全然コンサバじゃないですよね。

梶原さん:イギリスには10年住みましたが、実はすごく革新的ですよ。一見コンサバティブに見えますが、違いますね。日本とはライフスタイルが全く違います。日本人に便利さを聞くと、駅の近くにコンビニがあったり、電車が時刻通りに来たりすることだと答えます。この便利さが豊かさに関係すると考えています。でも、イギリス人は、不都合のなかで、工夫する生活が豊かさだと思っています。私自身、イギリスの生活に自分をアジャストするのに初めは苦労しました。

――そんな中で、ロミーさんに会われた時、何か強烈にフィットする、共感することがあったのですね。35年というと、日本はバブルの絶頂期。梶原さんは、そんな時代に環境を意識したビジネスをはじめられた。思い返してみても、その頃の日本で、環境を考えていた人なんて、少なくとも私の周りにはいなかったですよね。

梶原さん:そうですね、考えたこともないコンセプトで最初はびっくりしましたよ。私は、それまではイギリスの製品も取り扱ったりしていましたが、デザインとファンクションでビジネスを考えていて、個人の健康や環境に目を向ける製品というのはコンセプトにありませんでした。ましてや、健康を提案する商品なんて、その頃は薬しかありませんでしたから。当時、健康を語る人は病気がちな人、環境を語るのは学生運動をしている人や宗教関係の方という印象がありました。日本ではそんな風に偏った形でしか表現できていなかったのでしょう。

でも、ニールズヤードの場合は、パッケージもデザインも、非常にスタイリッシュでしたし、その世界観の伝え方は非常にうまいなと思いました。

当時すでに小さな店が2つありました。いまも本店があるコベントガーデンと、ロンドンの北西部にカムデン・タウンというパンク・ロックの発祥の地と言われているすごい場所です。場所の選び方もかっこいいですよね。(笑)

創業当初から、ボトルの色はずっとブルー。化粧品のブランドで、発売当初からパッケージのデザインを変えないのは非常に珍しいことです。

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