近年、児童虐待件数の増加が止まらない。この問題を受け、クリスマスの12月23日に都内で児童虐待防止を訴えるパレードが開催される。
主催はハーレーサンタCLUB。子ども虐待防止を訴えるオレンジリボン運動の一つとして、児童虐待を受けている子どもの早期発見・保護の啓蒙活動を目的としたオートバイでのデモ行進である。
当日はサンタクロースやトナカイの衣装をした人たちが、装飾を付けた大型バイクにまたがり、都内主要繁華街を走り回る。2008年から毎年1回開催していたが、今年は年に2回(11/23、12/23)開催する。クリスマスの防止パレードでは約200台のハーレーが集まる予定である。
厚生労働省の発表では、平成22年度中に、全国205箇所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数を5万5152件として、これまでで最多の件数を記録した。
子どもの国内総人口に占める割合は1975年から36年連続で減少しているが、児童養護施設への入所数は毎年増加傾向にある。入所する原因で最も多いのが親による虐待である。
また、虐待が原因で発達障がいを煩う子どもの数も増加している。大人とのコミュニケーションを避けることが多く、施設を卒園しても上手く社会に入っていけない子どもが多い。
しかし、18歳になり施設を卒園して大学に進学する割合は18.2%(厚生労働省2008年調査)と低く、73.4%が就職をする。この背景には就職を自主的に選択するというよりも、大学の学費面での弊害が存在する。
生きるために就職を選ばざるを得ない18歳の彼らは、虐待による障がいでコミュニケーションが上手く取れず、存分に就職活動が出来ないことが多い。また、企業側からも18歳という年齢や障がいのために雇用を拒否されることもあり、風当たりは強い。
施設を卒園するに当たり、生活支援として日本財団(日本船舶振興会)や新聞社などから200万円を受け取るが、この額だけではこれから一人で生きていくことへの不安は到底消し去ることは出来ない。
就職しても、住み込み就労や勤務環境の悪さなどで、わずか数年で辞めるケースが多い。子どもの純粋な心を傷つける虐待を無くすために、私たちに何が出来るのか。ハーレーサンタCLUB代表の峰たかしさんは「沈んでいる人を放っておけない。悲しんでいる子どもたちに笑顔を届けていきたい」と語る。
(オルタナS特派員 池田真隆)