3月11日の震災時から今までで、累計1200名の学生を被災地へ送り込んだ学生団体Youth for 3.11。震災時に同じ場所に居合わせた4人の学生が創設した団体がなぜこれほどまでに多くの学生の心を掴み、ボランティアへ向かわせたのか、その秘訣をYouth for 3.11事務局員の斎藤颯さん(慶應義塾大学商学部2年)に聞いた。(オルタナS特派員=池田真隆)
創設したのは現役の学生4人。震災時に偶然同じ場所にいたこともあり、その場で被災地支援団体を創設しようと話し合ったという。その時に決まったのは学生を集めて、被災地へ送り込もうという方針である。
学生を集めて、現地のコーディネーターとつなげ合わせる。これを徹底して取り組んだという。そのためにも学生にボランティアに参加するハードルを下げる必要があるとして、ありとあらゆるハードルを下げにかかった。
被災地へ行くまでの交通費や、現地での宿泊費、さらには寝袋や食料までも負担した。そうすることで、FacebookやTwitterでの発信でも多くの学生から参加希望の声が上がり、現在はメルマガ登録者6000人、ボランティア参加者は総勢1200人を超す。
■ボランティアは瓦礫撤去からお茶会まで様々、自分に合ったものを選べる
ボランティアに送る地域は様々である。常に複数の団体と提携しながら、学生たちには自分で行きたい地域を選べるようにしている。今までに南三陸、気仙沼、郡山市などへ学生を送っている。支援活動も瓦礫撤去の力仕事から、仮設住宅で避難者とお茶をするコミュニケーション支援などがあり、その学生に合ったボランティアを希望することが出来る。
ボランティアに参加したい学生はYouth for 3.11のメルマガに登録するだけ。毎週1本送られてくるボランティア紹介メールで行きたい活動を選べばよいだけである。
■単純に参加したグループではなく、一つの目的を達成するチームに
メルマガにはボランティア紹介メールだけでなく、毎月11日に実際にボランティアに参加した学生が書いた体験レポートなどが送られてくる。そこからは参加者同士の絆が伝わる内容が多く見られる。
これもYouth for 3.11の工夫のなす技である。ボランティアに行く前に単純に参加したグループではなく、一つの目的を果たすチームになってもらうために事前研修を行っている。
ここでは、お互いを知るためのアイスブレイクや、ボランティアに行く前にチームでの目標を定め参加者で共有する。また、実際に被災地へ行った人からの現地情報やボランティアの心構えも伝える。
さらに、ボランティアから帰ってきたあとも後日参加者で集まり、良かったことや今後何が出来るのかを話し合う。このような機会を積極的に生み出すことで参加者たちの被災地への意識を継続させて、ボランティアに対する抵抗感を下げる。
■2012年は現地での雇用問題にも学生として出来ることを行っていきたい
夏は毎週60人ほどを被災地へ送りこんで、冬は毎週20人ほどを送っている。
2012年の目標としては、これからますます深刻になると予想される現地での人手不足の解消、さらには学生が関わるには難しいと言われる被災者の経済的な問題にも何らかの形でアプローチしていきたいと語る。
また、この6000人が登録しているメルマガではまた新たな災害が発生したときにも対応出来るようにしておくと言う。そのようにして、緊急時に、いつでも学生の力を集結出来るようにYouth for 3.11の活動は続いて行く。
Youth for 3.11