僕はまだ、東日本大震災を「悪夢」だと思っている。嘘であってほしいし、受け入れきれていない部分がとても大きい。あの日から、もう一年の歳月が過ぎる。
震災後、初めて帰ったふるさとは変わり果て、知らない街になっていた。実家も、思い出の場所も、大好きな街の空気も、友人も、そこにはもう存在していなかった。まさに地獄へ突き落とされた気分だった。



実家の手伝いをしていても、ボランティアで避難所を回っていても自分の無力さを痛感し、当事者として何が出来るのかを自問しているうちに、夏が終わろうとしていた。ボランティアの数も激減し、復旧もままならないふるさとを見て、「とにかく現状を伝えたい」と思うようになり、100年先に震災を伝えようと、WA-Chord Project(ワコードプロジェクト)を設立した。そしてこれをきっかけに、本気で復興に向かって走っている人たちと出会うことができた。僕の中にあった孤独感が少しずつ、薄れていった。

「今からできること」。僕は、今からでも被災地へ一度赴いてほしい。そこにある現実を肌で感じ、現状を目に焼き付け、そして手を合わせてほしい。僕はそこから復興が始まるのだと思う。あなたがこれから起こす行動を、現地にいる人々は求めている。復興をゴールとするならば、まだ一年目なのだから。(寄稿・麻布大学2年志田淳)

WA-Chord Project