ソーシャルメディアが発達した現代だからこそ誕生したバンド「nothing ever lasts(ナッシングエバーラスツ)。

音楽は世界の共通語と捉え、言語の壁、国境の壁、歌手とファンの壁をなくすバンドを目指す。大手レーベルに所属していないと歌手活動が不利になる音楽業界の現状に疑問を持ち、どこのレーベルにも所属せず自主レーベルを立ち上げた。

ライブで熱唱するネル(写真中央)


制作したCDは購入者の希望する価格に合わせて販売する。「音楽が聴きたいのに、お金を出さなければ聴けないのはおかしい。お金がないなら0円でもいい」とアメリカ生まれのボーカルnel(ネル・26)は話す。

ネルが来日したのは2007年10月。来日前にYoutubeで日本の歌謡曲をカバーした動画を投稿すると、20万再生回数を超す反響が出た。

「スマップのオレンジや、GReeeeNのキセキなどは好評だった。日本から多くのコメントをもらい、これだけ影響を与えられるなら日本に行くべきだと使命感のようなものを感じた」と振り返る。

公園で歌うネル(写真左)とベースのyoshi(写真右)


しかし、ネルの気持ちとは違い、親からは反対されたという。アメリカの名門大学UCバークレーを卒業していたので、将来は家族を支える大黒柱として期待されていた。

「親には反対されたが、私はこの道を選んだ。一人でもいいから、その人の人生に音楽で影響を与えられたら価値がある。将来のことよりも今を大切に過したいと思った」という。

オープンプライスなので、バンド活動で生計を立てていくのは難しい状況にあるという。バンド活動の合間に翻訳作業やテレビのナレーションなどをして収入を得ている。

収入が安定しないオープンプライスを続ける理由としては、本当に良い音楽を作って広めていきたいからと答える。

「売れる音楽ではなくて、良い音楽を作っていきたい。流行りの音楽を作っても数年後には忘れられてしまう。日本でも良い音楽は広がるという事例となりたい」と話す。

ネルの目標は、アメリカやイギリスの音楽フェスに参加することだ。「日本にも良い音楽があることを世界に示していきたい。お金がないと音楽ができない現状を変えて、多くのファンとともに音楽の素晴らしさを伝えていきたい」と意気込む。(オルタナS副編集長=池田真隆)


nothing ever lasts公式HP

・My Pain,My Way (6月公開TBS系映画「ライバル伝説 光と影」主題歌)