クラウドファンディングの草分けREADYFOR(東京・文京)は7月29日、法人向けのSDGsマッチング事業「READYFOR SDGs」をリリースした。同事業では、企業と個人や団体をマッチングギフトの仕組みでつなげ、国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指す。第一段の参画企業は、中部電力、大鵬薬品工業、ロート製薬、大和リース、ストライプインターナショナルの5社で、総額6000万円のマッチングギフトを行う。(オルタナS編集長=池田 真隆)

長期で社会課題に取り組む人へのお金の流れをつくりたいと話す米良代表取締役CEO=7月29日、六本木アカデミーヒルズで

「SDGsの達成へ寄付と投資の間にあるお金の流れをつくりたい」――READYFORの米良はるか代表取締役CEOはSDGsに特化したサービスを開発した意図をそう話した。「寄付と投資の間」とは、「企業にも社会にもリターンがあるお金」を指す。

「寄付は見返りを求めない。投資はキャピタルゲインを狙う。SDGsを達成するためには、寄付と投資の間にある、企業にも社会にもリターンが出るお金の流れをつくりだすことが必要」(米良代表取締役CEO)

同社は、2011年3月にクラウドファンディング「Readyfor」を始め、社会課題の解決につながるプロジェクトを累計1万件以上掲載してきた。資金調達額は総額で100億円に及び、国内最大規模を誇る。

この実績を生かして、SDGsのマッチング事業を行っていく。仕組みとしてはこうだ。参画企業が、自社が力を入れる領域をSDGsの17目標から選ぶ。その領域内で活動するプロジェクトオーナー5~10人と、企業がパートナーシップを組み、マッチングギフトとして資金を提供する。

マッチングギフトとは、クラウドファンディングに掲載しているプロジェクトの支援金に対して、企業が一定比率の賃金を上乗せする仕組み。READYFOR SDGsでは、同社の審査を経たプロジェクトに対して、参画企業が支援額の上限50%をマッチングギフトとして提供する。総額は6000万円。

同事業の特徴は3つある。一つは、パートナー選定。同社にはこれまで1万件以上のプロジェクトを掲載してきたデータベースがあり、AI研究で著名な東京大学大学院・松尾豊教授の研究室と組んで、SDGsの達成に向けた最適なパートナーを選定するための調査を行っている。二つ目が、プロジェクトマネジメント。同社には、毎月数千件のクラウドファンディングへの掲載依頼がくるが、そのなかからプロジェクトの実行力だけでなく弁護士などの専門チームがコンプライアンス面を審査してきた。今回も、そのチームが、企業がパートナーシップを組むためのセキュリティ面を担保する。

最後が、社内外へのPR。参画企業ごとに特設ページをつくり、資金使途やクラウドファンディングの進捗をリアルタイムで確認できるようにした。資金を募るプロセスを公開することで広報につなげた。社員向けにパートナーシップを組んだオーナーによる報告会も予定している。

当日は大手企業のCSR担当者ら350人が集まった。登壇しているのは、東京大学大学院の松尾教授

■中部電力は2000万円支援

SDGsは2015年に国連で採択された国際イニシアチブだ。「誰一人取り残さない」をスローガンに掲げ、2030年までに解決すべき国際課題を17の目標に分けた。サステナビリティを推進するための世界の共通言語として広がっているが、SDGsを達成するためには年間2.5兆ドルの資金が不足していると試算されている。

そうした中、既存の金融機関ではお金を流すことができなかった領域にお金を流してきたREADYFORが挑む。サービス発表のカンファレンスに登壇した国連広報センターの根本かおる所長は、「寄付と投資の間をつなぐことをしてもらうのは、ありがたい」と述べた。

パネルセッションに登壇した国連広報センターの根本所長は、SDGsは様々なセクターを輪に巻き込むので、オールマイティの接着剤と表現した

参画企業であるロート製薬では、目標3(すべての人に健康と福祉を)に注力する。山田邦雄会長は、「311以降、企業として支援活動を進めてきた一方で、できる範囲の限界も感じていた。長期的な視点で、企業だけではできない課題解決を、パッションや知恵をもった方をサポートすることで達成したい」と話した。

同じく目標3の領域に取り組む大鵬薬品工業では小林将之社長直轄のストラテジックコミュニケーション室が管轄となり、参画する。小林社長は、「クラウドファンディングのオーナーと組むことで、アイデアのヒントをもらいたい」と言い、加えて、社内浸透にも期待した。

ロート製薬と大鵬薬品工業は、今後パートナーを募集していくが、参画企業で最も早く募集を始めたのが中部電力だ。同社は29日、8月26日まで、「ひとりひとりが安心して、イキイキと住み続けられるまちづくり」をテーマに高齢者の健康増進、チャレンジド(障がいを持つ人)や若者、子ども支援につながるプロジェクトを募集する。

9月下旬をめどに10件程度のプロジェクトを採択して、プロジェクトの目標金額の50%、総額2000万円を上限にマッチングギフトとして支援する。

増田義則副社長は、「電力の安定供給だけでなく、地域コミュニティを支えていくことも社会から求められている。共創型で課題の解決に取り組みたい」と述べた。

READYFOR SDGs



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