「このハゲ頭で世の中を明るくできたら」そう語るのは「たかじん胸いっぱい」や「ごきげん!ブランニュ」など関西のテレビ番組でナレーターを務める畑中ふうさん(53)。20年以上の長きにわたり、声をお茶の間に届けてきた彼は、ハゲ男による音楽ユニット「サーチライツ」を昨年2月に結成。同時に「ハゲの力」という楽曲を発表した。現在はライブ活動を行うとともに、東日本大震災で被災した人への支援も行っている。楽曲誕生秘話から、活動に対する思いを聞いた。(聞き手・オルタナS関西支局特派員=橋本翔一朗)


「自分の特徴を生かして面白い活動をしていきたい」と話す畑中さん


——畑中さんの音楽歴を教えてください。

畑中:中学生の頃からギターに触れ始めた。高校2年の時、新入生歓迎イベントで一度だけバンドを組んだことはあるが、弾き語りでライブをしたことはずっとなかった。40歳を過ぎたくらいから、久々に音楽をやってみるかと思い、中古のギターを買った。

そして、友人に助けてもらい弾き語りライブをした。仕事が「スタジオの中」ばかりで、人前で何かをやる必要を感じていた。「恥をかこう」と思った。とてもあがった。5、6年前には、ナレーター仲間達と音楽イベントを開催した。それはカタチを変えながら今も継続している。一歩を踏み出せば、結果はあとからついてくる、そう思っていた。音楽に関しては、ライブをするようになって見方が変わったし、少しずつ結果がついてきていると思う。

——楽曲「ハゲの力」ができた経緯を教えてください。

畑中:4、5年前から、ハゲている人ばかりの芸能プロダクションができたら面白いのでは、と考えるようになった。ハゲでCMを打つなどアイデアはいろいろあった。だが、アイデアを現実にするとなると、なかなか労力もいるなと思い、そのままにしていた。

そういった話を知人に相談すると、ハゲの曲を作りましょう、と盛り上がった。また、よき相棒に巡り会うこともでき、サーチライツを結成した。作詞作曲を行ったその知人によると、すぐ曲のイメージが思い浮かんだとのこと。まさに神(髪)が舞い降りたのかなと思う

——活動の目的はどういったものでしょうか。

畑中:ハゲていることで面白いことができないかという率直な気持ちが大きい。この特徴を最大限に生かしたい。誤解のないように言うと、ハゲている人だけを励ますわけではない。ハゲって、たくさん集まるだけで面白いはず。事実50歳前後のハゲ仲間の輪が広がっており、ハゲだけで仲間意識が広がることは実感する。

活動に対する反応で意外だったこともあり、女子高生がわれわれを見てかわいいと言ってくれる。こういった反応は素直に嬉しいし、ライブを行った際に、人が集まってくれたのはすごく自信になった。

——曲の聞かせどころと特徴を教えてください。

畑中:あえて選ぶなら「潔いフォルム、隠すものはなし。堂々と、ハゲ男」の箇所。曲のサビにあたる「ハゲ故にハゲ故にハゲ故に捨てる髪あれば、それ故にそれ故に拾う髪もあり」も歌っていると気分がのってくる。応援歌として作ったので、ヒーローもののテーマソングのように聞こえるかもしれない。この曲が少しでも聞いた人の心に残ればと思う。

——東日本大震災からの復興を支援する活動も行っていますね。

畑中:震災のあった後に、自分も何かしなくてはと思った。岩手県遠野市の方と知り合い、釜石市も訪れた。目の前に広がる風景を見て言葉をなくした。遠野市の方が復興支援団体「一般法人プロジェクトNext」を立ち上げ、その支援を始めた。

現在、YOUTUBEで「ハゲの力」のミュージックビデオを再生すると、 1回につき、0.25円の寄付を行うことができる。このハゲで何か役にたつことがあるならそれでいいと思う。また、それぞれができる形での支援を行っていくべきだとも思う。将来は動画の1000万回再生を目指している。活動が話題になれば支援の道も広がるはず。東北の復興に限ったことではなく、日本全体を明るくしたい。

——今後の夢を教えてください。

畑中:どんどんライブをしていきたいし、いろんなジャンルの音楽の人たちとセッションをしていきたい。全国のハゲている人達とつながりたい気持ちがある。ハゲ頭を結集して日本全国を照らすことができれば最高だ。


「ハゲの力」