ニイダヤ水産(福島県いわき市)は、一夜干しの製造・販売で高い評価を受けていた。だが、東日本大震災の津波被害で壊滅的な打撃を受けてしまった。

今年8月11日の試食会のようす


同県会津若松市のNPO法人素材広場の横田純子理事長は「ニイダヤ水産を復活させたい」という思いを、新潟のNPO法人ヒーローズファームに伝えた。ヒーローズファームの西田卓司代表理事は、自分たちのできることを探していた新潟大学の学生たちを集め、素材広場の「ニイダヤ水産復活プロジェクト」に協働し始めた。

同県産の安全な素材を使用したメニューを新潟市内の飲食店で販売し、売り上げの一部を寄付しようと動き出したのだ。新潟市内の釜めし料理店の協力を得て、震災前に相馬の漁港で水揚げされたツブ貝を用いた釜めしや旨煮などのメニューが、昨年12月から販売できることになった。

今年4月には、学生たちが集めた支援金約10万円を素材広場に届けた。素材広場では、一夜干しの流通上、冷凍保存に必要な真空パックの機械を購入することを目標に60万円に設定していた。

これを賄うため、素材広場では福島県の事業支援によって県外で行われている震災応援イベントに60回以上参加したほか、新潟大のインターン生による応援メニュー開発などの協力によって9カ月かけて目標金額を調達した。

そして、8月には、ニイダヤの新加工所で行われた試食会で真空パックの機械を贈呈し、新潟大学の学生も焼きを手伝った。

素材広場の横田さんは言う。

「やっぱり、焼き立ての魚は美味しいです。しかも無添加なので魚の味もしっかりしながら旨味がある。中には会津の三五八漬けで漬けた魚もあります。これからは粟島の魚を中心に仕込んでいくことになります」

ニイダヤでは現在、工場の内装・電気工事を進めており、9月1日から加工・販売を始める予定だ。

今後は福島県内の宿向け・個人向けに干物を販売していく。素材広場ではYahoo!ショッピングでの販売を進めているものの、販路拡大も課題だ。若い力が今後も期待されている。(今一生


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