8月18日(土)、阪急ターミナルビル(大阪・阪急梅田)で、福島県南相馬市長や大阪の一般企業を招いた「南相馬市 経済活動創出交流会」が開催された。主催したのは福島・相双地域(南相馬市を中心に隣接する湾岸エリア)に対して日本中でビジネスのきっかけを作る団体、一般社団法人相双地域ビジネス支援協会だ。

桜井勝延市長の講演を熱心に聞き入る企業52社


同交流会は、南相馬市の現状を知り、新しいビジネスを創出することで関西と福島を継続的につなげることが目的だ。今回の参加企業52社の多くはIT企業やコンサルタント企業だ。加えて、”日本屈指の中小企業の町”と称される東大阪市の企業、東大阪市議会議員も参加した。

東大阪市は、全国一中小企業の集積密度が高く(元気なモノ作り企業300 社2007年版)、加工部門を中心に工業製品の生産が発達している。しかしそれ以上に特化した産業がなく、下請け企業が集まっていることが、これまでも問題とされていた。

一方、3月11日の震災から1年5カ月経った南相馬市では、避難が解除され、住民の64%は帰郷しているが未だ3.11そのままの地区もあり、産業による再生は進められていない。物資やお金を与えるだけのボランティアでは継続されない。しかし、ビジネスという互いに利益を得る形を取ることで、継続的な関係を築くことができる。

南相馬市経済部商工労政課・平田良親企業支援係長(48)は南相馬市の現状報告の後、「南相馬市に進出を」と語った。南相馬市は原発20km圏内に位置することから、警戒区域が解除された今も一度広まった風評被害は消えない。

市民による労働意欲の落ち込みも問題となっている。同交流会は、南相馬市ならではの再建を他府県から考えることを趣旨に、賛同した企業が集まった。交流会後、具体的な取り組みについて、もっと話を進めていきたいという意見が多数寄せられた。

また、金属の設計・成型を行う企業(東大阪市)は「実際に会社の同僚と現場を見てきた。お金を一方的に送る関係ではない、互いに自立しあえる関係を作っていきたい」と語った。

同日の午後から、一般参加者480人に向けた南相馬・桜井勝延市長(56)の講演が福島区民センター(大阪市福島区)で行われた。講演後、参加者から「南相馬市のみなさんに何が今、一番喜んでもらえますか」という質問に、桜井市長は「常日頃の交流ができること。農家には作物に対する自信を、市民には、今も誰かとつながっているのだという安心感をもたせたい」と答えた。

今一度、企業、一般参加者、それぞれの特性を活かした振興を続けていく必要がある。(オルタナS関西支局特派員=守谷綾乃)