東日本大震災と原発事故によって被害を受け、今なお風評被害に悩まされている福島県いわき市で、「いわきオリーブプロジェクト研究会」が結成されている。

いわきの最北端、末続(すえつぎ)という町の圃場。200本が植えられた

同研究会は2009年にさまざまな企業・NPO・個人が参加して発足した。震災以降「いわきの復興のシンボルとしてオリーブを植えよう」を旗頭に市内27箇所にオリーブの苗木を植えており、苗木作り、栽培を中心に活動が進められている。

このプロジェクトは、耕作放棄地を農地として活用することで「環境と調和した農業づくり」「産業としての農業づくり」を行う。新特産物による搾油、加工商品開発によって「地域ブランド」づくりを目指し、将来は観光資源として、いわきの地域活性化につなげることを目的としている。



いわき地域の農業の衰退、地域産品の弱さを解決するため、商・工・観光・情報・福祉など業種を超えた連携による産業創出を目指している。

東京・中野では、いわき市で育ったオリーブの挿し木を教えるなどのワークショップ「オリーブのはばたきプロジェクト」が既に3回開催されたほか、中野からバスでいわきのオリーブ農園へ行って農作業を体験し、温泉で汗を流す日帰りのワークショップも開催された。

同研究会の理事長・松崎康弘氏は言う。
「作っても風評被害で売れない、もう高齢だから農業は諦める、と3・11以後に農業を辞めた人も多いのです。幸い、いわきはほとんど放射能が基準値内で、多くは検出されていませんが、放射能はこれからもずっと測定し続け安全を確認していかなければならない問題です。だからこそ今、オリーブ栽培を始めておけば、次の世代に希望をつないでいける。そんな願いを込めてプロジェクトを続けています」。(今一生)


いわきオリーブプロジェクト