クロスフィールズ小沼大地代表が語る日本人に「留職」が似合う理由(1/3)はこちら

——アメリカでは「留職」の取り組みが人気を博しています。これは、アメリカ人の「枠にはまらない性格」が留職と親和性があるからだと思います。日本人が持つ、良い意味で「枠にはまりたがる」性格では、異文化に行くと縮こまるのではないでしょうか。

インドで、NGOの活動地域視察を行う小沼さん


小沼:あえて言うと、僕の印象は真逆ですね。むしろ、アメリカ人ほどモノカルチャーな国民はいないのではないでしょうか。

確かにアメリカはダイバーシティの国ですが、一方でアメリカの価値観が一番正しいという認識がとても根強く、異文化に対する好奇心や寛容性が低いと感じることがあります。

アメリカ人と話していると、意外と海外旅行に行った事がない人が多くて驚くこともあります。一方で日本人は、コミュニケーション面での消極性はあるものの、相手を理解する力は実は極めて高いと思います。

たとえばピースコーと青年海外協力隊を比較しても、ピースコーのアメリカ人は初期的には現地人と仲良くなる人が多いですが、どこかで現地社会と壁をつくる傾向が強いように思います。

一方で協力隊の日本人は時間をかけて現地社会にどんどん深く入り込んで、最終的には現地人と間違われるくらいに現地社会の一員として受け入れられる人が多かったです。

留職がアメリカで注目を集めていることについては、むしろ、「アメリカですらこうした取り組みに真剣になっている」と感じています。

——留職での今年の派遣先を見ると、インドネシア・ベトナム・インドなど、アジア諸国が多くなっています。コミュニケーションが同じアジア人として取りやすいという点から、留職先としてアジアを選んでいるのでしょうか。

小沼:もちろんコミュニケーションの取りやすさはあります。セカンドランゲージも英語ですし、日本との文化的な均質性もあり、また、単純に物理的に距離も近いため、まずアジア諸国から始めています。

ですが、将来的には、アジアだけでなく、アフリカや中東にも対象国を広げたいですし、もっと言えば、そして日本でも留職をやっていきたいと思っています。

実はクロスフィールズを創業した当初は、日本で、特に東北で留職のモデルを実現したいと思っていました。しかし、企業側がなかなか事業との結びつきをイメージできないということで、まずは「グローバル人材の育成」「途上国の市場開発」といったメリットが伝わりやすいアジア新興国にターゲットを絞ることを決めました。

まずはアジア新興国NPOに派遣して、そこで結果を出します。そして、「でも、この成果って、よくよく考えると海外じゃなくてもよかったのではないですか」と気づいてもらいたいのです。そうすることで、きっと将来的には東北にも多く人を派遣することができるのだと思います。

——お話は変わりますが、小沼さんが感じる日本のNPOセクターに足りていない部分とは何でしょうか。

小沼:僕は大学院の時からNPOの研究をしていたこともあって、そのことは良く考えています。そんな中で問題意識として持っているのは、NPOセクターでの世代間の対話ですね。

NPOセクターの人たちは「NPOにとってコラボレーションが命」と叫んでいるにもかかわらず、NPO 同士の関係になると、主義主張にこだわりすぎて対話があまり得意でなかったりします。特に世代をまたいだNPOの対話はほとんど行われていないのではないかと思います。

NPO法の制定という意味では、日本のNPOが始まったのは1995年頃ですが、実際の活動の歴史は1950年代にまでさかのぼります。そして、当然ながら、50年代や60年代にできた老舗NPOにも、現在も変わらず素晴らしい活動をしている団体が多数あります。

しかし、2000年以降にできた「ソーシャルアントレプレナー」「社会起業家」などと呼ばれる系譜のNPOは、こうした老舗のNPOと対話する機会はほとんどないですし、お互いの存在すら知らないというのが現状です。その点に関しては、強くもったいないと感じています。

いま、老舗NPOの中には、創業者が引退するような時期を迎えている団体が少なくありません。そのような団体が後継者不足で解散するのではなく、若い世代の人たちが積極的に入っていって、その団体の持つネットワークや実績・経験を活かしてNPO業界を強化するという流れが来たら非常に面白いのではないかと思っています。


次回は1月29日(火)に掲載します

クロスフィールズ

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