例えば、インドでは国民の半数が携帯電話を持っているのに、トイレを持っている人は国民の3分の1にすぎないそうだ。

私が住む南米の産油国ベネズエラでも携帯電話熱が見られる。この国では、食べ物を買うにもギリギリの生活をしている人がなぜか、ブラックベリーやタッチパネル式の最新携帯電話を持っている。トイレがないような家の住民でさえも、携帯電話は必ずといっていいほど持っている。

犯罪が絶えないこの国では、こういった高級携帯電話を狙った強盗、はたまた殺人事件までが日々起こり続けている。強盗事件では必ず携帯電話が持ち去られる。こういったリスクがあると認識していながらも、ベネズエラの人は最近式携帯電話を買いたがる。

「そういった人は恥知らずなのだよ」「人目ばっかり気にしているのだ。流行に乗っていることを見せびらかしたいのだ」といった冷静な意見も聞こえる。しかし、特に若年層を中心として、携帯電話への憧れが強い。いいケイタイを持っていることが、一つのステータスになっているのだ。

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