津和野町の下森町長と福井さん


−−東京から津和野町に移り住み活動しています。かつては、「山陰の小京都」と言われ年間130万人を超える観光スポットでしたが、近年では活気が薄れ、町は衰退化しています。東京からの飛行機も一日に1本しか飛んでいません。この町のどこに魅力を感じていますか。

福井:ぼくらの世代で遊ぶとなると、ディズニーランドやアウトレットなど娯楽施設に行くことが多いですが、ここには娯楽施設はありません。

ですから、ここでは四季の季節の移り変わりや、旬の食べ物を楽しんでいます。自然にあるものを生かした遊び方を知っていますので、施設がなくても楽しめます。だから、東京にあるものがなくても楽しく過せています。

それに、東京や大都市にはたくさん人がいますが、すれ違う人はほとんど知らない他人です。しかし、ここでは、お互いのことを知っているので、出会った人と必ず立ち話をします。そこも魅力の一つですね。

−−2012年4月に津和野町に来て、町長の隣で働く「町長付」として活動していますが、最初はなかなか評価されなかったようですね。ただ、時間を重ねることによって、信頼も勝ち取ってきました。縁もゆかりもない若者だからこそできることとはなんだと思いますか。

福井:議論の種になることができます。今まで当たり前だと思っていたことが、そうではないのだと思わせることが、外から来た若者ならではの強みです。

例えば、私は役場で働いているのですが、民間の人と積極的に会話するように意識しました。企業に務めている人や農家さんと話すと、「役場の人間は定時に帰れていいよな」と嫌みを含んだ言い方をされたことがあります。

なので、役場の職員と民間で働く町人のコミュニケーションを活性化させるために飲み会を開催しました。会話することで、お互いのコミュニケーションが進み、町が一体となって問題解決に当たれます。

人口が少ないので町の人間関係は濃いです。なので、近所付き合いもあり、言いたいことが、はっきりと言えないことがあります。でも、ぼくはここに来たばかりなので、タブーみたいなことも言えます(笑)。言いたいことを言うことが必ずしも正しいわけではありませんが、改めて考え直すきっかけにはなります。

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