萩原麻代さんは、5年前に行政書士として独立開業した。法人設立、相続手続きや遺言作成、許認可申請、外国人のビザ申請代行などを行っている。もともとは、弁護士をめざし司法試験の勉強をしていたが、大規模な制度改革のあおりをうけて、やむなくキャリアの方向性を変更した。彼女が得意とする仕事は外国人向けの仕事で、多忙な日々を送っている。日本語を母国語としない外国人にとって、この国で必要とされる関連書類は複雑で面倒なものだ。
そのスキルを生かし、TEDxSapporoでは総務という煩雑な仕事を一手に担っている。TEDの存在を知ったのは、数年前。インターネットで、ダンスと映像のパフォーマンスを見たのがきっかけだ。「数々の素晴らしいスピーチもあるが、パフォーマンスもユニークですばらしい」と彼女は語る。
TEDxSapporoとのかかわりは、特に強い動機もなかったようだ。ふとしたきっかけでTEDx Sapporo Salon(小規模のTEDxSapporo)に参加した後、たまたまオーガナイザーのDilip BK Sunar氏との飲む機会があった。
そして、いつの間にかチームの中にいたという。次第に、彼女自身がもっていた固定概念が崩れ、様々な価値観の枠がはずれていったそうだ。オーガナイザーは日本人ではないのに日本のために頑張る姿や、失敗してもまずやってみようと、チャレンジを大切にしているチームの姿がそこに在った。
これまで、彼女自身や彼女の周囲には、自分のコミュニティを広げたり、失敗を許されたりする世界はあまり存在していなかった。「行政書士のような資格を生かすために独立開業した方々は、営業かねて異業種交流会に顔を出すも多い。しかし自分はもともと内向的で、その雰囲気になじめなかった」と彼女は語る。
一方、彼女にとってTEDxSapporoのチームは少し違った。自ら積極的なかかわりを持っていかなくとも、彼女に合った役割もあったし、それを受け入れてくれる仲間たちがいた。
また、彼女がTEDxSapporoについて強調する点は、新しいエンターテイメントのスタイルとしての可能性だ。既に世界中のTEDxで、素晴らしいアイディアを持つ人のプレゼンテーションやパフォーマンスが毎日のように行われ、インターネットで配信されている。
北海道内、札幌においてTEDxSapporoはその楽しさを発信する場となる大きな可能性があると彼女は強調する。「私も含めて、いろんな人がいろんな環境の中でいろんなアイディア、いろんなスキルを持って生活している。札幌、北海道、日本、世界、幅広い視点でものを見られるように、面白い発見が出来るようになる素晴らしいきっかけだと思う」自ら内向的と口に出す彼女だからこそ、人を楽しませるエンターテイメント性に魅力を感じているのかもしれない。(オルタナS北海道支局長=横山光紀)
TEDxSapporo 2013特集ページ
http://tedxsapporo.com/information/tedxsapporo-2013/
萩原さんおすすめのTEDTalks
クイックソティック・フュージョン「光との戯れ」
http://www.ted.com/talks/lang/ja/quixotic_fusion_dancing_with_light.html
マルコ・テンペスト 「拡張現実がつくり出す魔法」
http://www.ted.com/talks/lang/ja/marco_tempest_a_magical_tale_with_augmented_reality.html