グロースアップ部門に登場した羽崎貴雄さんは、鬼ごっこの意義を伝えた。羽崎さんは、一般社団法人鬼ごっこ協会理事を務め、鬼ごっこを通して、子どもたちの生きる力を育てる事業を行う。

鬼ごっこは、1300年前の平安時代からある遊びだ。羽崎さんは、「誰でも知っている遊びだが、現代の鬼ごっこは1300年前のものとは異なる」と話す。「昔は、鬼、親、子の3種類の役割があり、一番大きい子ども(親)が小さい子ども(子)を鬼から守るものだった。親と子どもの関係性を遊びを通して学んでいた。昔の鬼ごっこを現代の子どもたちにも教えたい」。

本来の鬼ごっこを実演する羽崎さん(写真右)。

鬼ごっこを普及させたきっかけは、同団体の理事長で、羽崎さんの父親、泰男さんの研究があったからだ。泰男さんは、東京青山の「子どもの城」設立にかかわった中心人物だ。長年、子どもの研究を行い、このままだと競争意識や、仲間を思う心が育たない危機意識を感じたという。そこで、この問題を解決するために、選んだのが鬼ごっこだった。

羽崎さんは、「コミュニケーションだけでなく、肥満など、現代特有の子どもにまつわる課題を鬼ごっこは解決できる。父親への恩返しも含め、鬼ごっこの可能性を信じたい」と話した。

複数人で行う「スポーツ鬼ごっこ」を考案し、学校にプログラムを販売したり、社員研修に鬼ごっこを勧める。将来的には、スポーツメーカーと組み、鬼ごっこ専用のグッズも開発したいと意気込む。

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