社会起業大学は2010年から開校し、卒業生は250人以上に及ぶビジネススクールだ。約4カ月間の修了期間を終え、同グランプリは開催される。

発表は3部門に分かれて行われた。社内で社会的事業を行う者を指すソーシャルイントラプレナー部門、創業3年以上の社会起業家を対象にしたグロースアップ部門、創業3年未満の社会起業家を対象にしたスタートアップ部門だ。

ソーシャルイントラプレナー部門には、地域活性化につながる観光ポータルサイト「旅の発見」を運営するティー・ゲートのニューツーリズム事業部竹田英樹課長が、グロースアップ部門には、発達障がい者のキャリア支援を行うKaienの鈴木慶太代表が選ばれた。

未来の社会起業家として期待されるスタートアップ部門には、歩行困難者らに訪問美容サービスを届けるプランを発表した「訪問美容 と和」の小池由貴子代表が選出された。

小池代表の事業プランは、美容の力で生きがいを与えるものだ。事業を構想した背景には、小池代表が車椅子生活で感じた原体験がある。8年前に、骨巨細胞腫を患い半年間、自宅で車椅子生活を送った。外出することが困難で、美容室にも行けないため容姿に自信がなくなったが、あるとき後輩が前髪を5センチ切ってくれた。このことで、気持ちが変わったという。

日本には、要介護者・支援者は340万人、そのうちの約280万人は歩行困難者だ。小池代表は「自宅にいるが、美つしくなりたい人はいるはず。綺麗になることで、自信を取り戻してほしい」と話す。

審査員長の田坂広志氏(社会起業大学名誉学長/社会起業家フォーラム代表)は、総評として、「必ず新規事業は困難に直面する。しかし、その困難を突破する社会起業家がいる。その人たちに共通するのは、原体験と覚悟だ。これらがあることで、支援者が表れ、社会起業家として歩み続けることができる」と話した。

鬼ごっこで社会を変える

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