お熊甲祭りの起源は、平安時代にある。田んぼの稲刈り後に行われる「秋祭り」として開催され、翌年の五穀豊穣を祈ることが目的とされている。見所は、大の男たち総勢50人ほどで1本の「枠旗」を担ぐときだ。枠旗とは20メートルほどの巨大な木に旗がかけられているもので、この枠旗を地面すれすれに傾ける「島田崩し」などの技も見られる。

毎年、地域全体が盛り上がり、太鼓や鐘の音が鳴り止まない一日となる。教室の黒板には、お祭り開催日までの数字がカウントダウンされる。幼少の頃から参加している中川さんは、大の祭り好きだ。大学入学と同時に上京したが、祭りの時期には帰省する。一番の思い出は、「御神酒(おみき)を飲み、みんなで酔いながら枠旗を担ぐとき。担ぎ手の一体感がすごい」と話す。

しかし、そんな楽しい思い出を持つ祭りも問題を抱えている。「枠旗」の担ぎ不足だ。能登は過疎化が進み、祭りに参加できる若者が少なくなってしまった。かつては、25本あった「枠旗」も、現在では16本までに少なくなった。

■祭りバカと行く、体感ツアー

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