日本フィランソロピー協会(東京・千代田)とアメリカン・エキスプレス財団(米国ニューヨーク)は全国の若手NPOを対象とした宿泊型研修プログラムを開催した。集まった30人の研修生は2泊3日で、リーダーシップやビジネススキルを学び、グループに分かれて社会的課題をクラウドファンディングで解決する企画を考えた。最優秀賞には、若年層のネットカフェ難民らがサイバーポリスとなり、子どもたちをネット犯罪から防ぐ企画が輝いた。(オルタナS副編集長=池田真隆)

NPOには、イノベーションが不可欠とメッセージを送る米倉誠一郎教授(写真中央・奥)

この宿泊型研修プログラムの名称は、「アメリカン・エキスプレス・リーダーシップ・アカデミー2014」。今年で6回目を迎え、総合監修には、一橋大学イノベーション研究センターの米倉誠一郎教授が付く。講師には、電通のクリエーティブディレクター・並河進氏、リンクグローバルソリューションの田中康之代表らを揃える。

過去5回は、研修最終日に、企業への協賛を獲得するためのプレゼンを行っていたが、今年は違った。クラウドファンディングサイトに挑戦するプロジェクトを発表した。

毎年、審査員の米倉教授や同プログラムの責任者エディ操副社長(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 広報)らから手厳しいフィードバックが出ていたが、「感覚に訴えるプレゼンが多く大変良かった」(エディ操副社長)と好評価だった。

審査員の一人、日本フィランソロピー協会・高橋陽子理事長も、「NPOは当事者の視点になって考えることが得意なので、個人から共感を集めるクラウドファンディングには向いている」と話した。

最優秀賞を獲得したチームでは、若年層ホームレスの課題に着目した。ネットを通して子どもたちとコミュニケーションを取り、社会復帰を手助けする。リーダーを務めた引谷幹彦さん(任意団体TEDIC)は、「インターネット犯罪を防ぐことで、社会的つながりを感じてほしい」と話す。ほかにも、東北に住む年配者と文通をし合うサービスや独居老人の家を、スタートアップのシェアオフィスとして使用する案が受賞した。

研修生と2泊3日を過ごした米倉教授は、NPOにはイノベーションが必要と訴えた。「NPOは、重要な役割を担っているともっと自覚してほしい。税金や補助金、企業のCSR活動ではまかなえない部分を解決しているのだから」。