社会起業家支援を行うアショカジャパンでは2012年から「(東北)ユースベンチャープログラム」を行っている。このプログラムでは社会問題の解決や東北の復興に対して、行動を起こしたいという気概とユニークなアイディアを持つ12〜20歳の若者を支援している。アショカジャパンにより選出され、活動を続ける若者を特集する本企画。第5弾の今回ご紹介するのは、近畿大学3年の大前拓也さん(20)。彼が東北で出会った中高生を、地元関西に招待し、お互いがまた会いにいきたいと思える様な関係を作るための「東北と関西をつなぐ逆ツアー」を企画している。(志田淳)
大前さんは関西の学生団体Investor(インベスター)の活動を通して、何度も東北へ足を運んでいた。その中で出会う東北の中高生を今度は関西に招待し、お互いが「また会いたい」と思えるような関係を作ることが出来ればと考えたことが、「逆ツアー」を開催するきっかけとなった。
「この逆ツアーを通して、中高生が自分たちの住んでいる街のことをより深く考えるきっかけになればと思っています。関西を訪れてもらい新たな価値観や気質に触れて、東北と関西の違いを知り、今までとは違う視点で自分たちの街の魅力を再発見してほしいです」
逆ツアーに参加した中高生からも評価は上々のようだ。中には後日、学校の修学旅行で関西を訪れた気仙沼の高校生が、自由時間を使って大前さんに会いにきてくれたという。大前さんの言う「また会いたい」という気持ちが高校生の行動となり、実現した瞬間でもあった。
この3月から1年間大学を休学し、活動の場を気仙沼市に移した大前さん。日頃から気仙沼の中高生とコミュニケーションを取れる環境になることや、事前・事後研修をしっかりと行えるようになることで、さらに意義の深いツアーにしたいと意欲をみせる。次回は今年の夏頃にツアーを行う予定だ。「逆ツアーだけではなく僕が気仙沼で活動することで、これからを担う世代である中高生が、自分がやりたいことに向かってひた向きに頑張れるきっかけを作ってあげることができたらと思います」
中高生のうちに自分の知らない世界へ飛び込んでみるという経験は、後の人生において大きな糧となる。そのきっかけを与える逆ツアーと、そこに参加した中高生がどのように成長していくのか、今後も注目したい。