九州大学ユヌス&椎木ソーシャルビジネス研究センター(SBRC)は7月15日、ユヌス&ユース・ソーシャル・ビジネス・デザイン・コンテスト2014(YYコンテスト)を創価大学(東京都八王子市)で開催した。予選を勝ち抜いた4チームが最終発表を行った結果、リフィル式の自動販売機を設置することで飲料容器の削減を提案したチーム「MyBo!(マイボ)」が優勝した。(オルタナ副編集長=吉田 広子)
YYコンテストは、若者の「創造性」「技術」「情熱」を最大限に発揮し、ソーシャル・ビジネス・プランの立案を通じて、未来の社会や若者自らの将来をデザインすることを目指している。
他のビジネスコンテストとは異なり、グラミン銀行創設者でノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士が提唱する7原則(※)に基づいた「ユヌス・ソーシャル・ビジネス」の実現が目的だ。
単なるアイデアのコンテストではなく、起業を前提にし、ビジネスプランの制作段階から、各チームにビジネスの専門家がメンターとしてサポートを行う。
本選前に行われた3回のワークショップでは、解決したい社会課題を設定したり、ビジネスプランや収益計画を作成したりしてきた。
■メキシコでのプレゼンの機会も
コンテスト当日は、審査員としてユヌス博士も参加。会場には、学生や教職員、高校生ら620人が集まり、会場は熱気に包まれた。
優勝したチーム「マイボ」は、立命館大学の学生から成り、飲料容器の過剰消費を解決することを目指した。日本では、飲料用ペットボトル・缶の使用量は年間約149万トンにも上る。
そこで、大学生にアカウント付マイボトル「MyBo!」を携帯させ、キャンパス内に設置されたリフィル式の自動販売機で、飲料のみ販売するサービスを提案した。容器代削減による「低価格」での飲料販売と、アカウントを付けることでニックネームや好みが記憶される「楽しさ」を利用者に提供する。
チーム「マイボ」は、11月にメキシコシティで開催されるグローバル・ソーシャル・ビジネス・サミット(GSBS)に派遣され、プランを発表する機会を得る。GSBSには毎年、世界50カ国以上から500人以上の参加者(開催国首脳、政治家、経済界、著名人、国際機関、王室関係含む)が集う。
ユヌス氏は、「誰もが社会起業家。大きな社会課題の解決に向けて、小さなことから始めてほしい。すぐに達成できる楽しいことを積み重ねて、大きなものに発展させていく。そうすれば、やがてすべての貧困がなくなるでしょう」と話した。
会場となった創価大学は同日、ユヌスセンターと交流協定を締結し、同大学にユヌス・ソーシャル・ビジネス・センターを置くことを発表した。教育・研究、セミナー、シンポジウム、ワークショップなどを通じて、具体的なソーシャル・ビジネス・アイデアを育む。