社会起業家支援を行うアショカジャパンでは2012年から、「(東北)ユースベンチャープログラム」を行っている。このプログラムでは社会問題の解決や東北の復興に対して、行動を起こしたいという気概とユニークなアイディアを持つ12歳~20歳の若者を支援している。アショカジャパンにより選出され、活動を続ける若者を特集する本企画。第12弾の今回はLMC(Local Cross Market)を開催する今年から社会人一年目の志田淳さん。(アショカジャパン東北ユースベンチャラー=矢野 大地)

ファッションを切り口に事業を構想する志田さん

ファッションを切り口に事業を構想する志田さん

「らしいことをしたかった」
そう、語る志田さんは高校生の頃からやりたいと思うことには正直で、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いというはっきりとした性格だったそう。そのためか先生には距離を置かれてしまっていたそう...

気仙沼

2011年3月11日、東日本大震災。志田さんの故郷・気仙沼を含む多くの場所を襲った未曾有の災害。そして、志田さんの実家も大きな被害にあったという。

地元が被災地と呼ばれるようになった今、志田さんは自分なりの「らしいこと」を始めた。自分は服が好きで、オシャレをするのが好き。震災後、たくさんの人たちが気仙沼を訪れて、支援してくれた。そんな想いを掛け合わすことのできるLocal Cross Market(通称LCM)を開催した。

LCMは気仙沼の高校生を対象に自分に合ったオシャレな服を安価で提供できる場づくり。そして、その服は震災後、支援したいけどどうしたいいかわからないという人達に古着を提供してもらうことで支援の輪を広げることを目的に行ってきた。

2012年12年に初めて開催してから、これまで4回行ってきた。そこにはたくさんの来場客の方々、支援してくれた人たちがいた。しかし、第五回は無いと志田さんは言う。

志田さんの故郷・気仙沼で開催したLCMの様子

志田さんの故郷・気仙沼で開催したLCMの様子

「ニーズは変わってきた。良くも悪くも被災地は落ち着いてきている。だからこそ、欲しいものがあれば売っているところへ買いにいってほしいし、人に委ねるのではなく、選択は自分の感性でしてほしい」

地元気仙沼での支援という形でのニーズの変化、そして、気仙沼=被災地というような知られ方ではダメだと思う気持ち。震災というワードから抜けられる気仙沼をめざして、力を使いたい。

「風化はする」

そんな気持ちが志田さんの決断を後押しした。

志田さんはこれから自分の頭の中にあるものを具体的なものにすること、服をはじめとする自分が良いと思うものをつくり続けていきたいという。それが、たった一人の人にでも良いと思ってもらえるものをつくりたいと。

これは志田さんにとっての新しいスタートであり、「らしいこと」をするための素直な歩みなのだと私は思う。アショカの取り組みを通して、あえてリスクを取ってすすんできたからこそ見える世界があるのだろう。

私たちも自らの「らしいこと」。一度立ち止まって考えてみてもいいのではないのだろうか。

アショカジャパン:http://japan.ashoka.org/
ユースベンチャーブログ:http://ashoka-japan.org/youth/