私は、2014年1月~2月までの1カ月間、アフリカ中央南部に位置するザンビア共和国に、青年海外協力隊員として派遣された。青年海外協力隊とは、日本政府が行うODA(政府開発援助)の一環として、独立行政法人国際協力機構(JICA)が行う海外ボランティア派遣制度のことである。(横浜支局=田才 諒哉・横浜国立大学教育人間科学部4年)

1965年にスタートしたこの制度は、現在までに88カ国約40,000人ものボランティアを派遣し、開発途上国と呼ばれる国々で様々な協力活動を行ってきた。

この連載では、まだまだ知識も能力もない大学生である私が経験した「国際協力の現場」を伝えるとともに、こうして若者が「途上国」という異文化だらけの世界に飛び込むことから得られる気づきや学びを書き記していきたいと思う。

最近では、ボランティアやスタディーツアー、留学などで若者が海外へ行く機会も大幅に増え、海外渡航へのハードルも下がり、ボーダレスな社会へと移りつつあるように感じる。

これまでにもフィリピンや南米パラグアイでの活動経験があった私だが、青年海外協力隊の応募には躊躇った。それは、こちらがお金を払って行くスタディーツアーなどとは違い、青年海外協力隊は一定の生活費をもらって現地へ行く、いわば「仕事」だからである。まだ大学生で社会人経験も知識もない私がお金をもらいながら現地で活動するということに違和感を感じ続けていたのである。

しかし、最終的には大学の恩師の一言で青年海外協力隊への参加を決めた。JICAは、青年海外協力隊の目的として以下の3つを挙げている。

(1)開発途上国の発展と復興に貢献すること
(2)途上国との友好親善、相互理解を促進すること
(3)ボランティア経験の社会還元

今の自分にできることは限られていても、意識と行動次第で、帰国後の社会還元には「学生」という身分でも貢献できる可能性は大いにあると信じ、応募に踏み切った。

そのためには多くのことを吸収する義務があるし、「日本人」としての看板や誇りも背負わなければならない。期待以上の不安を抱えながら、僕はアフリカ・ザンビアへと旅立った。
(続く)

*この派遣は、青年海外協力隊の大学連携案件により実施され、現地先輩隊員、企画調整員、JICA本部および現地事務所、横浜国立大学のご協力のもと行われたものです。また、肖像権に関してはすべて確認の取れているものを使用しております
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