野村総合研究所は、創立50周年記念事業として「2030年の日本」研究を行っている。同社は研究を通して、2030年代の日本は、「個々の主体が自立し、成長することが求められる時代」と予測した。この事業に合わせて、次世代の育成を支援するため、大学生・留学生・高校生向けの小論文コンテストを企画した。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

野村総合研究所・中沢氏

「守破離」の視点で未来を考えてほしいと話す、野村総合研究所CSR推進室長の中沢健夫さん

同社が主催する小論文コンテスト名は、「NRI学生小論文コンテスト2015」で、応募する小論文のテーマは、「2030年に向けて―『守るもの』、『壊すもの』、『創るもの』」だ。

今回のテーマでは、今から15年先の未来を考えることが求められている。同社CSR推進室長の中沢健夫さんは、未来は誰にも分からないとした上で、このテーマで論文を執筆するヒントを話した。

それは、「守破離」の視点だと言う。守破離とは、剣道や茶道などの世界で使われる言葉。基本となる型を学び、その上で独自の型を見出し、自らの道をつくっていくことを指す。中沢さんは、「実体験に基づいた独自の視点で、革新的な提案を求めている」と期待する。

テクノロジーが発達し、グローバル化しつつある現代社会で、何を守り、何を壊し、何を創るのか、執筆者自身の思いを書き留めてほしいという。

同社が小論文コンテストを開催するのは、今年で10回目。同社はこのコンテストを、CSR活動の一つと位置づけている。同社のCSR活動の柱の一つに「次世代育成支援」がある。次世代が未来へ目を向ける機会と、自己の成長を同時に成し遂げるために、過去のデータや情報を分析し、熟考しながら作成する小論文という形を選んだ。

毎年のテーマは、未来に関するもので、その理由は同社の企業理念が「未来創発」だからだ。未来の中心を生きる次世代にこそ、自分たちの社会を真剣に考えてほしいとの思いで企画した。

毎年、1000前後の小論文が集まり、同社としては、若者の考えやアイデアに触れる機会として全社的に取り組む。約200人の社員が関わり、小論文の応募を促進するため、母校を訪れたり、審査過程にも加わる。社員からは、「改めて未来創発という企業理念を考えるきっかけになった」との声が聞かれる。

学生たちからは、未来の社会を考えることで、自然と自分自身の将来についても考える機会となっている。こうして、社員・次世代の人材育成へとつながっているのだ。

小論文を通して、社会を考える機会をつくる

小論文を通して、社会を考える機会をつくる

中沢さんは、同社の企業理念「未来創発」に込めた意味を説明しながら、次世代にエールを送った。「未来創発という言葉は、未来は分からない、見えないものなのだから、思い切って私たちで作ってしまおうという、我々の未来に対する意気込みから生まれた。未来のことを真剣に考えるため、そこで中心的役割を果たす次世代の若者と、一緒に未来について考えていきたい」。

同コンテストでは、高校生、大学生、留学生の3部門がある。応募期間は、7月1日から9月5日(大学生・留学生の部)14日(高校生の部)。字数は、高校生の部が2500~3000字で、大学生・留学生の部が4500~5000字。高校生の部の大賞には、賞金30万円が、大学生・留学生の部の大賞には賞金50万円が贈られる。

■NRI学生小論文コンテスト2015の公式サイトはこちら

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