ところで、先ほどから出てくる「リプロダクティブヘルス」と何か。これは「性と生殖に関する健康」のことで、女性が身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを言う。「社会的に」というところがミソで、ここシリアの場合では「女性の社会的地位が低く、それが保健医療の状況に悪影響を与えている」との指摘があるのだ。

そこで、本プロジェクトでは保健活動だけでなく、地域開発活動(識字教育や収益活動、女性の社会的地位向上を目的とした啓発活動など)も求められている。

そんな風に専門家集団が既に色々と動いているところに、僕らのような協力隊員が何をしに行く必要があるのか。その裏には、このプロジェクトが2009年3月で終了し(2008年の11月には最終評価がある)、2010年3月まで僕らの派遣期間の途中で、専門家の方々は居なくなってしまうという事情がある。

つまりは、シリア国だけで自立発展できるようなシステムを作っていってもらうために、日本からの介入は減らしていく、その最後の部分を請け負うような形である。リプロダクティブヘルスについて様々な活動をしてきてはいるが、まだ地域が限定的である。それを普及・拡大していくために動くことを期待されている。

さきほど「僕ら」と言ったが、この派遣はグループ派遣と呼ばれるもので、僕以外に3人の女性がいる。1人は僕と同じ「村落開発普及員」(現在「コミュニティ開発」と名称変更)、もう2人は元看護師で「保健師」という職種で派遣されている。

「女性の社会的地位の向上」という目標の中に、男である僕が派遣されているのには理由がある。「男性優位の根強いシリアにおける、家族計画に対する男性側の巻き込み」である。避妊がばれて夫から暴力を受けた女性の話もあるそうだ。避妊の手段として、コンドームよりピルやIUDの方が利用されている。

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