僕の仕事を一番シンプルに言うと、JICA専門家が行なっている技術協力プロジェクト「リプロダクティブヘルス強化プロジェクト」のお手伝い、というものである。

シリアは、都会においては途上国というよりは中進国といってよさそうな国であるが、保険医療分野における国内格差は大きく、特に都市・農村間、男女間、および教育レベルによって顕著であり、その格差はシリア政府も問題視するところである。そこで、2006年からJICAが業務委託した開発コンサルタントが入り、特に保健医療状況の良くない北部地域を対象に母子保健・リプロダクティブヘルスを強化するべく、シリア保健局とともに活動をしている。

具体的にこのプロジェクトで実施されているのは、大きく2つ。1つは「地域に点在する保健センターの質の向上」。保健センターは住民にとって無料の診療を受けられる一番身近な保健施設だが、設備や評判が悪くて利用されてこなかった(代わりに有料のプライベートクリニックを利用している)。それを設備の支援やマネジメント強化を通して利用しやすくしていった。

もうひとつは「コミュニティヘルスボランティア(CHV)によるメッセージ伝達」で、「産前健診4回・産後健診2回・出産間隔は3年」というメッセージを家庭訪問して伝えるというものだ。今後、求められているのは、CHVがもっと活発に動けるように支援をすることに加え、地域資源・ネットワークを発掘して巻き込みながら、地域全体で健康の質を向上させられるような体制を作っていくことである。

プロジェクトが作ったチラシと村の少年たち

プロジェクトが作ったチラシと村の少年たち

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