福島を取材領域とした新しいウェブメディアが立ち上がろうとしている。企画しているのは、福島県郡山市在住の佐藤和男さん(65)だ。7月17日からオルタナ編集部で3日間インターンを経験している。

若者のスタートアップが目立つ中、彼の姿勢を見ていると、はじめる時期に年齢は関係ないのだと身をもって感じる。以下に彼が企画しているメディアの概要を記載した。オルタナ、オルタナSとして、そして個人としても全力で応援していきたいと思う。(オルタナS副編集長=池田真隆)

オルタナ編集部員との記念写真。写真中央が佐藤さん。


私は3.11以後に、福島の人々が苦しみと格闘しながらつかみとってゆく新しい幸福のカタチを日本と世界に伝える、ソーシャルウェブメディアを立ち上げたいと思っています。

3.11当日は郡山の自宅で遅い昼食を家族で摂っている最中でした。その後1週間は避難所で過ごし、幸いに自宅は一部損壊で済んだので自宅に戻り、8月までは、郡山市にある2000人が避難した福島県内最大の避難施設の支援活動を手伝っていました。

私たちは、3.11以後、たくさんの方々の犠牲で、以前より物事を深く考えるようになりました。そして世界の人々からの友情で、以前より人々の善意に敏感になりました。3.11の前と後では、私たちの中で確かに何かが変わりました。

3.11は、私たちに、生きることの意味から豊かさの意味まで問いを突きつけました。世界の人々も、福島の人々がこの大惨事が突きつけた問いにどのように答を出すのかに注目していると思います。

私はその答をマスメディアや行政の中にではなく、福島の人々の困難に向き合う毎日の真摯な努力の中に見出したいのです。子どもの幸せのために流す母親の「涙」の中に、安全な作物を作るために流す農業者の「汗」の中に、そのかけらがあると思っています。

私は、ささやかでも、福島県のあちこちで始まっている新しい幸福のカタチを作る努力を、ソーシャルウェブメディアで応援したいのです。9月に事業計画のコンペがあり、それに通れば来年2月起業の予定です。

名前は「ア・ダタラ」と考えています。目の前のさまざまな課題をいっしょに考えて、「『あっ、だったら』これでどう?」と提案をしていきたいと思います。

福島で前向きにがんばっている人々をぜひ応援お願いします。